「気圧」と「アスリートのパフォーマンス」の関係20241022
スポーツ科学を勉強していて、
「そんなこと、考えたことなかった!」
ということについて話します。
「気圧」についてです。
持久力競技では、
気圧によってパフォーマンスが大きく変わるってご存知でしょうか?
空気の量がパフォーマンスにどう影響するのか、今回はその科学について話します。
気圧
気圧というのは、空気の圧力、単純に言えば空気の密度です。
ローイングのレースとなると1分あたり100リットルを超える空気を吸ったり吐いたりしますが、体に酸素を取り込むには、
その吸った空気の中に酸素分子がどれだけあるかが非常に重要です。
低気圧の場合は、空気そのものの密度が低いので、
同じ酸素濃度21%であっても、酸素分子の数が少なく、
持久的な種目であればあるほど、
同じ換気量でも酸欠となりやすく、
パフォーマンスが落ちます。
一方で、高気圧の場合は、空気そのものの密度が高く、
同じ酸素濃度21%であっても、酸素分子の数が多いため、
持久的な種目であればあるほど、パフォーマンス的には有利と言えます。
つまり、
高気圧(1013hPa以上を高気圧という)のときは「空気の量が多い」(空気の密度が高く、酸素分子が多い)ので、酸素を十分に取り込める。
低気圧 (1013hPa以下を低気圧という) のときは「空気の量が少ない」(空気の密度が低く、酸素分子が少ない)ので、パフォーマンスが低下しやすいです。
高所トレーニングについての私の勘違い
今まで、「高所トレーニング」=「酸素濃度が少ない場所でのトレーニング」と思っていたのですが、
高所であっても、低所であっても、酸素濃度は約21%と変わりません。
変わるのは、
同じ体積の中にどれだけ酸素分子があるかであって、
高所では酸素分子が少ないのです。
結果的には同じことを言っている(体内に酸素を取り入れられない)のですが、大きく勘違いしていました。
高地トレーニング考案のきっかけとなったメキシコオリンピック
メキシコオリンピックは会場となったメキシコシティが標高が高く、気圧の低い場所、つまりは非常に酸素の少ない場所だったため、陸上の5000mなど長距離種目ではまったく記録が出なかったようです。ちなみに東京と比較すると、
メキシコシティ
標高: 約2,240メートル
平均気圧: 約780 hPa(ヘクトパスカル)
東京
標高: 約40メートル
平均気圧: 約1,013 hPa(ヘクトパスカル)
となります。
いかにメキシコが低気圧だったかが分かると思います。
酸素分子の量が約20%以上少ない計算になります。
低気圧だからこそ、パフォーマンスに有利な種目も。
低気圧の場合、空気が少ないため、空気抵抗がそもそも少ないという利点があります。
なので、短距離走や、投擲種目など、そこまで運動に酸素を消費しない、瞬間的な競技であればあるほど、空気抵抗による減速が少ないため、パフォーマンスに有利と言われています。
追記:重力
重力も、地球の遠心力の関係で、遠心力が北極や南極よりもわずかに強い赤道付近は、重力が弱いとされています。
なので、赤道付近でやり投げや投擲種目を行えば、そしてさらにそこが高所であれば、重力が小さく、空気抵抗も少ないため、かなりの記録を残せる可能性があります。
まとめ
今日は気圧とパフォーマンスについて記事にしました。
高気圧、低気圧といっても、メキシコシティと東京の違いほどは変わりませんが、30hPaぐらい変わると、酸素分子の量が3%ほど変わるようです。
普段から1%の差で戦っているアスリートにとっては、大きな数字のように思います。
スポーツはいろんな要素が複雑に絡み合ってパフォーマンスが発揮されるので、気圧が全てではもちろんないですが、そういう要素もあるよ、という紹介になります。
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