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9.note創作大賞に全力で応募したら蕁麻疹になった話。


12月に呑み書きをして、年末に何かさらっと更新しようと思ったらiPhoneのメモに「5歳の時に母が死んだ。目の前で」と書いていた。書いてしまっていた。

なんで死んだのか? ここからどうするのか?

気になって考えてたら、気がついたら年末年始の休みを費やしていた。創作大賞に応募しようと思ったのはこの頃だったでしょうか。全体の半分くらい書いていたと思う。

例によってプロットはないので、最初は「母が殺されたのは闇の組織のせいで、父と猛特訓して組織に仕返しする」という案(バットマンバージョン)が3分ぐらい浮かんだけど(父はやくざの幹部とかそういうの)、ド・エンタメになりそうで却下した。ド・エンタメでもぜんぜん問題なかったんだけど、きっと思いつめていた。

「そろそろ意味のある『かさ』を積み上げていかないと人生終わる」という想い。

noteで書き始めてそろそろ3年になるし、人生も半ばを過ぎたし、ちょっと真剣に創作に向き合って、いま持ちうる全部を出し切ってもいいのでは、と。逃げずに、楽な方(楽な構成、楽な内容、楽な展開)に行かずに、ちゃんと書いてみよう、と思った。書けなかったらそれはそれでよし。書こうとして、書いてみたことが大事だと思った。そして、最後まで書ききった。

noteではド・エンタメ以外で人があからさまに死ぬ話は書いていないと思う。人が死ぬ = それだけでなんだか感動的で「自分の力」以外の部分でストーリーを引っ張っていく、と敬遠していた。意識的に。

でも、今回はその自分ルールを破って、一行目で母が死んでしまった。そしたら、もう、タブーはない。(タブーというほど大げさなことか? というご意見はごもっともで、でも他人からしたら「え、なんでそんなことにこだわるの?」ということって、誰しもひとつやふたつぐらいありますよね)

よし、じゃあ、あらゆるタブーを除外して、いま自分が書きたいテーマを、全部投入しよう。と決めた。書きたいことを小出しにするんじゃなくて、もう、全部、ごっちゃまぜにしていけるところまでいこうと。大鍋につっこんで煮込んで料理になればそれはそれでよし。ならなければ、焦がしたら、それは自分のいまの力なので、それもまたよし。

そういう想いで、この1ヶ月間、ずっとあの話に費やしていた。平日は仕事があるので(仕事モードの脳みそと、小説モードの脳みそは違うので、短時間では切り替えられなかった)、主に週末をつかって。平日は平日で書いてはいないけれど、ずっと頭の片隅で「あの二人は幸せになるのかな?」と考えていた。「父はどうなるのかな」とか。

締め切り当日まで推敲した。最後に向かう二人のシーンが、ずっと繋がらなかった。難航した。順番を変えたり、会話を変えたり、一番書き直したと思う。(逆に書き直していないのは、あの男のセリフ。おそろしいほど流暢にしゃべって、一息ついている)

思えば、私が23、4の頃に始めて書いた話は、あの男の側の物語だったのかもしれない。もちろん内容や設定はまったく違うけれど、話の枠組みはあの範囲から出ていなかったような気がする。今回は、最後は希望をもたせたかった。希望を持たせたいと思って、書いていた。それがあの頃とは違うし、今までとも違うのかもしれない。安易な死、安易な希望、それらは私が忌避していたものだけど、向き合った。


さて、出来上がったお味がどうだったかは、私にはわからない。料理は食べていただいて初めて完成する。でも私の中では、2021年の12月末~2022年の2月6日まで、私なりに向き合って書けたことは、良かったなという感触はある。おかげさまで、見えない疲れのせいか、仕事の積み重なったストレスのせいか、2月に入って蕁麻疹が出るようになった。かゆくてかゆくてしょうがないのだけれど、そのうち治ると信じたい。

最後に小声で言うと、今回は裏のテーマで「カラマーゾフの兄弟」を目指した。1万分の1でもカラーマーゾフになれるようにと。自分のカラマーゾフ。小説自体はもうだいぶ前に読んで中身は覚えてないけど、衝撃だけは残っている。おこがましいので大声では言えないけど、いつかもっとスケールアップして、5000分の1のカラマーゾフを目指したい。


もし次に、なにか書くとしたら、もっと長いものを書くのだろうか。そしたらもう公募に出したほうがいいのかもしれないとも考える。今回のは2万字で、それ以上に長くなるともうnoteの枠では厳しい気もする。

といいつつ、「米軍と日本軍で渋谷のハチ公に最初にタッチしたほうが勝ち」というド・エンタメが頭を占領してるんですけど、短編として書くかもしれません。一寸先は闇、ということで。闇は光でもある、ということで。

以上、note創作大賞の備忘録でした。やっぱり蕁麻疹がまた出てきた。かゆいです。



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