第一回目の独演会と前夜祭を振り返って
初めての独演会に向けた想い
第一回目のゲストは絶対に松麻呂さんと決めていました。
もともと講談が大好きで、その影響で次第に落語の魅力にもハマっていき、落語会を主催するようになりましたが、やはり生の講談を間近で感じたいという思いはずっと持ち続けていました。
松麻呂さんは蝶の治さんと同じく、前座応援会の配信で初めて拝見し、その軽快なテンポの心地良さと、一言一言に込められた情熱が伝わってきて、ぜひ生で拝見したいと思うようになった講談師さんでした。
劇団出身で、私と同じ“つかこうへい”さん好きという点にも親近感を抱いていたのです。
そんな松麻呂さんと、こちらもまた熱い落語が持ち味の蝶の治さんを掛け合わせたら、絶対に面白くなるに違いないと確信し、せっかく独演会のゲストに来ていただくのなら、二人が全力で対峙する姿も見てみたい!
ということで、独演会の前日に二人会という形で前夜祭を開催することに決めたのでした。
熱気あふれる前夜祭の二人会
前夜祭では、落語と講談それぞれの魅力を存分に楽しんでいただけました。
特に松麻呂さんの「男の花道」の熱演は大反響で、お客様の集中力もすごかったです。二席とも素晴らしく、改めて「やっぱり講談は面白い!もっと観たい!」と思わせてくれる、まさに講談の醍醐味を味わえる貴重な時間となりました。
そして、蝶の治さんの「反対俥」も大いに盛り上がり、二人の共演はお互いの情熱がぶつかり合う迫力満点の時間となりました。
それぞれの違いを楽しみつつ、どちらも譲らない熱気の中で、二人がのびのびと全力を尽くす姿には圧倒されっぱなし!
たっぷり3時間にわたる熱演で、会場は大いに盛り上がり、まさに観客を巻き込んだ熱い前夜祭になりました。
独演会で感じたプロの魅力
一夜明けて迎えた独演会は、前夜とはまた違った雰囲気で始まりました。
時間はきっちり2時間。前夜の熱気を保ちつつ、洗練された空気の中で、プロの技を存分に堪能できる落語会となりました。
第一回目の独演会ということで松麻呂さんが選んで下さった演目は「細川三代 出世の松飾り」
出てきた瞬間からパリッと気持ちが引き締まるような、それでいて和やかな雰囲気を作って下さるところはさすがだなと思いました。
表現のひとつひとつがとても丁寧で、初めて講談に触れたお客様にもその面白さをしっかりと伝えることができたのではないかと思います。
そして、蝶の治さんの「死神」は独自の工夫が光る一席で、会場中を惹き込み、新たなファンや新しいお客様との出会いに繋がりました。
この一年、訪れるたびに新しい演目を覚えて来られ、見る度に新しい工夫が加わり、そのたびに成長していく姿に感慨深いものを感じました。また、普段の落語会では見られない新しい一面を垣間見ることができたのも、独演会ならではの魅力だったと思います。
初めて来てくださった方々が、落語と講談の魅力を楽しんでいる様子を見て、少しずつ活動が形になってきたことを実感できた第一回目の独演会。これからの成長へと繋がる大切な一歩となりました。
2年目に向けて
この経験を土台に、「桂蝶の治ひろしま落語会」はこれからも一歩一歩、歩き続けます。
今後も新しい試みを取り入れながら、「また観に行きたい」と思っていただけるよう、時に走りながら、時にゆっくり深呼吸しながら、一つひとつ丁寧に積み重ねていきたいと思っています。
まだまだ未熟ですが、どうぞよろしくお願いいたします。