「不適切にもほどがある」がやっぱり面白い。
「木更津キャッツアイ」からのクドカンファンで、作品はほとんど見ている。今期の「不適切にも程がある」は
野蛮な昭和とコンプラがんじがらめの現代を主人公が行き来するという設定は非常に面白いのだが、途中で突然ミュージカルになるという演出が少し苦手であった。もともとミュージカルやフラッシュモブやディズニーパレードを見るといてもたってもいられない性分なのだ。なぜかはわからない。生の演劇も苦手である。突然感情が顔面に突きつけられるようで、ビックリするし、受け入れられない。もしも誰かにフラッシュモブをされたら私は死んでしまう気がする。
だが。「不適切にも程がある」第3回の山本耕史と八嶋智人によるミュージカルシーンは逸品であった。まず八嶋智人使いが凄い。八嶋智人という人物を余すことなく生かし、素晴らしく面白かった。そして山本耕史。「鎌倉殿の13人」での意味のない裸、メフィラス星人、「きのう何食べた?」での
ジルベールに翻弄される男、メフィラス星人。まごう事なき名優である。
思えば私にも好きなミュージカルシーンはある。長谷川博己と杏が共演した「デート」。八景島でのフラッシュモブは痛々しさと必死さが伝わり、かつ楽しいシーンであった。そしてその返答としての杏のマーチングパレードは非常に愛らしいシーンであった。
過去のクドカンドラマの「うぬぼれ刑事」にも長瀬智也が毎回「うぬぼれダンス」をするシーンがあり、これは楽しみであった。私は歌や踊りが嫌いなわけではなく、あくまでも私にとっての好みや、歌い踊り出す必要性とタイミングの問題のようだ。
今シーズン他に見ているのは「おっさんずラブリターンズ」だ。2もムービーも別設定で私的にはイマイチだったのだが、リターンズは天空不動産に舞台が戻り、はるたんと牧の愛情を丁寧に描いている。そこに絡む部長と謎の隣人。男と男のラブストーリーではあるが、人を愛する気持ちは何も変わらないと思う。
ところで前クールは「セクシー田中さん」を熱心に見ていたのだが、こんなことになって悲しい。一回目を見た時はギャグっぽくしたいのか、人物描写が雑な気がしてリタイアしようかと思った。が、たまたま2回目、3回目と見るうちにまぁ最後まで見るか…という感じになった。原作は読んだことがないが、なんだか無理にコメディっぽくしている感じで、それが邪魔に感じた。でも田中さんの不器用でありながらも背筋を伸ばして生きようとするプライドに惹かれ、視聴を続けた。ラスト2回は「自分らしい生き方」を各キャラクターたちが見つけ、安易な結末に収まらなかったのが良かったと思う。物語は続く…と感じたのに、作者の人生は終わってしまった。臆病でありながらも凛とした田中さんが好きだった。作品は残るが、彼女の未来を描ける人はもういない。寂しい限りだ。
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