💙受験国語テスト 小説文H 犬も食わない
母子家庭や、家庭がいやで家出する小説は、かなり受験用テキストで取り上げられています。色んな家庭があることを学ぶのも勉強です。夫婦ゲンカは「仲が良い証拠」とも言います。心配していると、すぐ仲直りするので、夫婦げんかはバカバカしくて犬も食わないのです。
🧡題 「犬も食わない」
それは、父さんがテニスから帰り、イスに座ったとたんに始まった。
「あなた、一日中私達を放りっぱなしで、よく平気でいられるわね?」
僕と妹、弟は、ソファで固唾を飲んだ。
「あなた、この子達の勉強を一度でも見てやったことあるの?おまけに兄さんは徘徊、おばさんは寝たきり。こんなに尽くしているのに、何が不満なの?」
大きな音を立てて父がイスから立ち上がった。
「だれが、そんなに尽くせと言った!お前が勝手にやっているだけだ!」
僕は「もうだめだ。おしまいだ。」と思った。
次の瞬間、母は、ガターンとひざまずいた。そして父の腰に顔を当てて激しく泣きだした。
「ごめんなさい。どうしてこんなひどい事を.......」
泣いている母に、父は語気を和らげ、
「いいよ、いいよ。分かったから、もうやめろ。」
と言って、両肩に手をかけ、立ち上がらせた。妹と弟は、深いため息をついて出て行った。僕もドアに手をかけて、ふり向くと、母はうなだれて父の胸に頭を押しつけている。
あの二人は、愛し合っているのか、憎み合っているのか。
🧡知識問題
固唾(かたず)を飲む
緊張→唾(つば)が固くなったのを飲みこもうとしているようす
徘徊(はいかい)
→認知症で足が丈夫な場合、無意識で歩き回ること。
🧡場面
ソファがあり家族がそろっていることから、リビングと考えられる。
🧡心情
一日中私達を~~平気でいられる
家族を放り出して一日中テニスをして遊んでいた夫を責め、怒る気持ち
固唾(かたず)を飲んだ
夫婦ケンカが始まり、どうなるのか心配で緊張する気持ち
こんなに尽くしているのに何が不満なの?
何とか理由付けをして夫を責めたい気持ち。感情的。
大きな音を立てて
妻の言葉にカッとして、イスを引かずに立ち上がったので大きな音が出た。怒り。
お前が勝手にやっているだけだ
尽くしているのに不満を持っていると恩着せがましく責められ、怒りがこみあげた
もうだめだ。おしまいだ。
二人が感情的になり、取り返しがつかないと感じ絶望感。
ガターンとひざまずいた・腰に顔を当てて激しく泣き出した
「ごめんなさい。どうしてこんなひどいことを........」
愛する夫にひどいことをいわれ、絶望した。愛していなかったら、ひざをついたり腰に顔を当てたりはしない。また、どうして夫を責めたのか自分でもわからず混乱。
語気を和らげ
いいよ、いいよ。~~もうやめろ。
両手に手をかけ立ち上がらせた
ひざまずいて泣く妻を見て、反省。いたわりの気持ち
深いため息をついて
父と母が仲直りをしたようすを見てほっとしたと同時に、あきれた気持ち
うなだれて、父の胸に頭を押しつけている
夫に詫びる気持ちと甘える気持ち(保護者の方に生徒さんが叱られた後の気持ちと似ている)
あの二人は、愛し合っているのか、憎み合っているのか
激しいケンカをした直後にすぐ仲良くなった両親を見て、素朴な疑問を持っている。
人間は、つい感情的になり、思ってもいないことまで言ってしまうことがある。自分が間違っていると感じたら、誠意をもってあやまるのが一番だろう。
また他人と一つ屋根の下に暮らすというのは大変なことだ。どうしても相手の欠点が見えてしまうからだ。
「愛」の反対は無関心。ケンカしているうちは愛し合っていると言える。
夫婦も受験と同じで、困難を乗り越えたとき、成長があるのかもしれない。