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「躁鬱大学」を読んで

 外は雨が降っている。本来なら、G.W.明けの陰鬱とした気分で、会社に出勤していた時間帯だ。こうやって、一人パソコンに向かって文章を打つことが出来るというのは、ある意味幸せなことなのかも知れない。約束された未来は無いが。

 4月28日に発売された「躁鬱大学」を読んでみた。著者の坂口恭平さんという人は、絵を書いたり、畑で作物を育てたり、自分の携帯番号を公開して個人でいのちの電話をやったりしているという、ちょっと破天荒な生き方をしている人だ。いわゆる組織に属する人間とは真逆の生き方をしていて、会いたい人だけに会い、家族と過ごす時間も制限し、創作活動や畑仕事に没頭しているらしい。

 それで生活が成り立っているのだから、才能があるからこそのなせる技のようにも見えるが、本人は昔から仕事が続かず苦労した時期もあったらしい。躁鬱病で苦しんでいるときに出会った「カンダバシゴロク」によって、躁鬱病とは一種の体質、つまり自分は躁鬱人なのだ、という考えに至り、楽に生きていくにはどうすれば良いか、ということについての様々な方法が本書に述べられている。

 ただやはり、組織の中で躁鬱人が生き抜くには苦労しそうだ。どうしたって複雑な人間関係においては、自分を変形させて周囲に合わせていく必要がある。

 窓の外を眺める。ここは団地なので、個人菜園用のスペースが並んでいる。「畑でもやってみようか」とふと思った。土いじりは、メンタルにも良いらしい。そして空いた時間を、絵を描いたり、文章を書いたりしながら過ごすのも悪くないな…と妄想ばかりが一人歩きしてしまう。取り敢えず今の私に出来ることは文章を書くことだけだから、まずはそこからやってみるとするか。