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自分の体内時計を知るにはどうしたら良いのでしょうか

 あなたは自分の体内時計がどうなっているか知っていますか。

 実はこれがなかなk難しいんです。睡眠不足で眠い時とか自分の体内時計が狂っているのかなと感じることがあるんですが、実際に体内時計がどうなっているか測定するのは難しいものです。特に体内時計といっても腹時計といいますか、内臓の時計はどうなっているかについては全く分かりません。内蔵の時計は、メタボリックシンドローム(メタボ)と関係が深いので、この時計が知りたいものです。厳密には、体内時計を測るためは、細胞の時計遺伝子の発現リズムを測らなければいけないのです。つまり、細胞をとらなければいけないということになります。これは現実的なものではありません。このような事情があるため、時間生物学や時間栄養学を人の健康増進や疾患予防に応用するというのが難しくなっています。

 採血をすることによって白血球の時計遺伝子をはかることによって体内時計を推測することができます。しかしリズムを測るためには、1回の採血だけではだめで、何時間かおいて何点か採血しないと分からないものです。従って現実的なものではないということがわかります。もう10年も前の論文ですが、2010年の論文で、採血に代わって非侵襲的な方法が報告されました。一定時間おきに髪の毛を抜くんです。髪の毛を抜くとその毛根に細胞がついてきます。その細胞からRNAを回収して時計遺伝子のリズムを測ることになります。寝ていても起こされて髪の毛を抜く、なかなか大変な測定です。非侵襲的な方法とはいうものも、人によっては侵襲的と考える人も多いでしょう。体内時計は、波の式や三角関数に当てはめることが来でますので、もっと回数は減らせるようです。髪の毛以外にも、髭を抜くとか口の中の細胞を綿棒で掻き取る方法などがあります。

 このような方法によって人の体内時計を計ることができますが、その時計はとった場所の体内時計となります。時間栄養学と健康との関係においては、内臓の時計、例えば肝臓時計や脂肪時計、筋肉時計などがどうなっているかということが知りたいところです。毛根の時計と肝臓時計が同じかは疑問がどうしても残ります。そこからどうしても内臓の時計を推測したいわけです。これまで時間栄養学研究は、食事タイミングが肝臓時計などの内蔵時計を制御することを、主に動物実験で明らかにしてきました。つまり食事のタイミングのデータを使えば、体内時計を推測できるのではないかということを示しています。そこで、人においても食事のタイミングがずれたときに体内時計が動くという証拠が求められていました。つい最近なんですけれども、2017年に食事のタイミングが人の体内時計に影響するという論文がやっと出ました。実際の実験は、バイオプシーといいまして体に針を刺して脂肪細胞を取ってきて時計遺伝子を測るという方法で行われました。朝食欠食のように、食事のタイミングをずらすと、体内時計(この場合、脂肪時計)がずれることが初めて人で示されました。これまでネズミを使って行われてきた多くの時間栄養学研究が、おおよそ人で起こるということがわかりました。

時間栄養学時計細胞

 そこで、食事のタイミングを記録することによって体内時計を推測するスマートフォンのアプリケーションを作りました(「時間栄養学時計」)。食事をしたタイミングをタップします。何か食べたときはタップするわけです。そうすると自分の内蔵時計を推測して波の形で表してくれます。理想的な体内時計からのズレを表示してくれるようになっています。このアプリでは、睡眠時計や活動時計も理想的なリズムからのズレを表示するようにしてあります。また、トイレの時間もタップすることで、便活時計も表示するようにしてあります。活動量計もついていますので、筋肉時計も推測できるようになればと思っています。将来的には肌時計なども加えられたらいいなと思っています。このアプリはまだ公開しておりませんが、近い将来公開するつもりです。おもちゃ的に遊んでもらえれば幸いです。

時間栄養学時計

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