失敗しながら学ぶ
今日のおすすめの一冊は、ジョン・C・マクスウェル氏の『一勝九敗の成功法則』(三笠書房)です。その中から「人生にはリスクがつきまとう」という題でブログを書きました。
本書の中にとても興味深い「美術学校でのエピソード」という文章がありました。
ある美術学校でのエピソードである。陶芸の授業のとき、最初に教師はクラスを2つに分けた。そして、アトリエの左半分の生徒には作品の量によって、右半分の生徒には作品の質によって採点すると告げた。そして採点の日が来て、興味深い事実が明らかになった。優秀な作品は、すべて“量グループ”から生まれたのだ。
量グループの生徒は、たくさんの作品をつくっていく過程でいくつも失敗し、そこから学ぶことでいい作品を次々と生み出すことができた。しかし、“質グループ”の生徒は、完璧な作品について理屈をこねるだけで手を動かさなかったために、成果として残ったのは、壮大な理論と作品になりそこねた粘土だけだったのだ。
あなたの目標が、ビジネス、スポーツ、芸術、人間関係など、どんな分野であろうと同じこと。進歩する唯一の方法は、「トライ・アンド・エラー」をくり返すことだ。そして、そこでの失敗を経験という財産に変えていくのだ。私は毎年多数のセミナーを行ない、何千人もの人々にリーダーシップについて教えている。残念ながら、せっかくイベントに参加しておきながら、家に帰ると、以前と代りばえしない生活を続ける人もいる。
「イベント」を楽しむだけで、そこで吸収したアイデアを何ひとつ実行しようとしないのだ。私は口を酸っぱくしてこういい続けている。多くの人が何か人生を変えてくれる出来事を期待するが、イベントに参加しただけで人生が劇的に変わるほど世の中は甘くない。実際に行動してこそ、夢は実現するのだ。
確かに人は生来、易(やす)きに流れやすいものだ。努力を続けることは決して簡単ではない。しかし、行動を起こして失敗をくり返し、より高いレベルを求めることこそ、成功へのプロセスなのである。成功するためには、いくつかの苦難を乗り越えなければならない。進歩するためには、ときに挫折を経験しなければならない。そして、そのときに重要な考え方がある。それは、夢を実現させるためには、逆境を受け入れ、失敗を「人生にはよくあること」と考えることだ。失敗をしないということは、真の意味で進歩しないということなのだ。
多くの親は、子供に失敗させまいとします。冒険やチャレンジという経験はたくさんさせたいが、失敗はさせたくないと思ってしまいます。しかしながら、冒険やチャレンジは失敗とセットになっているのです。どちらか片方だけを、都合よく望むことはできません。
失敗をさせたくない症候群を「過保護」といいます。これは、親だけでなく、会社でも同様です。失敗をさせずに、できるだけ効率よく成長させたい、と願うのです。そして、あれこれ口出しするようになります。子どもでも社員でも、早いうちに失敗させることが将来の自律につながります。失敗しながら量をこなすことを厭(いと)わない人でありたいですね。
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