ハードルの下げ方
今日のおすすめの一冊は、佐々木典士氏の『ぼくたちは習慣でできている』(ワニブックス)です。その中から「成功は結果であって、目的ではない」という題でブログを書きました。
本書の中に「ハードルの下げ方」という興味深い話がありました。
行為の「ハードルを下げる」ということをいちばん意識的にやっているのが Amazonだと思う。ネットで1clickで買えるだけではなく、物理的なボタンを押すだけで商品を注文できるダッシュボタン(たとえば洗濯機の横に洗剤のボタンを置いておけば、切れたときにいつでも注文できる)、最近ではスマートスピーカーに「アレクサ、ソーダ を注文して」と声をかけるだけで注文ができるまでになった。
どこかで災害が起きたとき、オンラインで寄付をしようと思い立つことがある。その時新たにIDやパスワードを登録したり、Amazonならわかってくれているはずのクレジットカード番号を登録する手間のどこかでくじけてしまうことがある。Amazonが買い物習慣の王者であるのは、ハードルが極端に低いからだ。
下げるべきハードルはいろいろある。 「距離と時間」「手順」「心理」。ひとつずつ説明しよう。
まず距離と時間のハードル。皇居でランニングするのは大変に楽しいものだ。しかし、そこまで電車に乗って1時間かかるとすると習慣にはなりづらい。それよりも家の近所でランニングコースを見つけるほうが続きやすい。
ジムに通うなら、何より自宅からの距離が近いところ。続けたいものがあれば、距離をまずはぐっと近づけてみる。
次は「手順」のハードル。ぼくはジムに通う習慣を身につけるとき、とにかく必要なモノを少なくした。ある時いつものように「今日は行こうかどうしようか」と家でウダウダしていた。そこで自分がジムに行く時の手順をすべて挙げてみて、どこが引っかかっているのか考えてみた。
ジムは自宅から近いし、車ですぐだ。そこで思い浮かんできた答えのひとつは「きついタイツをはいたり脱いだりするのがめんどくさい」。小さなことだが、そんなことの積み重ねで人が取る行動なんて変わってしまう。
タイツをはいたスタイルのほうがおしゃれだと思うのだが、はきやすいただのパンツにした。スポーツドリンクを作るのもやめてただの水に。シューズを入れる袋や着替えを入れるバッグも、とにかく出し入れしやすいものに変えた。小さなことだが、結果として習慣になったのだから大きな効果をあげたと思う。
手順のハードルを下げることに関して、こんなおもしろいアドバイスもある。マラソンランナーの谷川真理さんは、冬に朝ランを習慣にしたいなら「すぐに走り出せる格好をパジャマにする」ことを勧めている。確かに冬の朝起きたあとに、着替える寒さや、煩わしさを取り除けば習慣になりやすいだろう。
「心理的なハードル」も見逃せない。たとえばぼくは初めてヨガ教室に行った時もいろいろなハードルを感じた。「身体が硬すぎて笑われるかもしれない」「自分だけ男だったらどうしよう」などなど。 しかしこんなハードルは初心者の誰しもが感じること。ヨガからすれば「よくある質問」に載っている内容だ。
身体は何歳からでも柔らかくなる。身体が硬いほうが、元々柔らかい人より変化を楽しめる、何よりポーズを取ることがヨガの目的ではない。少し慣れれば、 男性が少ないことにむしろ喜びを感じるかもしれない。
たとえば、読書のハードルを下げるなら、自分の好きな本を読むこと。それにはまず、どのジャンルの本が好きなのかを知ること。それは、歴史小説であったり、サスペンス、ファンタジー、エッセイであったり…。
あるいはジャンルではなく、好きな作家でもいい。そして、1日に読めるだけ読み、できればそれをSNSで日記がわりに発信すること。発信するということが読書のトリガー(引き金)となる。
何かを習慣とするには、ハードルを下げることはとても有効だ。
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