人から必要とされること
今日のおすすめの一冊は、新井和宏氏の『あたらしいお金の教科書』(山川出版社)です。その中から『「江戸化」することが必要』という題でブログを書きました。
本書の中に、「人から必要とされること」という心に響く一節がありました。
池上彰さんが監修された書籍『なぜ僕らは働くのか』のなかで、100年生き抜くための働き方が紹介されています。 一言でいうと、高齢になったら退職するという常識から、生涯現役という常識に変わるということ。 生涯現役で働いていけるような、また働きがいを感じる仕事をするためにも、お金についての認識を変えていく必要があるんですね。
いままで当たりまえにあったような、こんなつらい仕事でも60歳までならなんとかがんばれるぞ、とか、引退後から自分のやりたいことをやるんだとか…そんな考えがいよいよ非常識となって、仕事を選ぶ基準というものが自分を生きている実感があるかないかに変わっていくと思っています。
「お金のために働く」から「自分を生きるために働く(お金を手に入れる)」。 「自分の時間を犠牲にして働いているんだ」 働くが楽しくないと、生涯現役といわれてもただつらいだけ。 楽しく働けるようになるためには、働きがい、つまり役に立っているという実感が大切です。
障害者雇用を3年以上推進するチョーク製造販売会社 に日本理化学工業があります。その経営者であった故 大山泰弘さんは、著書『働く幸せの道』のなかでつぎのようにいっています。
人間の究極の幸せは ●人に愛されること ●人に褒められること ●人の役に立つこと ●人から必要とされること
そして、働くことによってすべての幸せはえられるのだ。働くというのは、ただ単にお金を手に入れることだけではなく、この四つの究極の幸せを手に 入れるためにあると私も思います。こんなふうに幸せに働けるのであれば、歳を重ねてもずっと働いていたくなりますよね。
この本の冒頭でも書きましたが、『なぜ僕らは働くのか』のなかで、100年生き抜くための働き方が紹介されています。そこでは、高齢になったら退職するという常識から、生涯現役という常識に変わるということが伝えられています。
生涯現役でも楽しくてしょうがない「働く」を手に入れるために大切にしたいこととは、 ●「自分がワクワクすることが何か」を知っていること ●「ワクワクすることが変わっていく」も知っておくこと
ワクワクすることが何かを知るためには、 ●自分に問いつづけて、でてきたこと ●だれよりも強く想えること ●みんなは苦に感じるけど、自分は苦に感じないこと が重要ですが、やってみないとわからないことが多いので人はいろいろな仕事を経験します。
あこがれの職業につくのはわるいことではありませんが、やってみたらイメージとまったくちがう(いい場合もわるい場合もあります) こともたくさんあるでしょう。 人は成長しますから、「ワクワクすることが変わっていく」のは当然です。それは同じ仕事をしていたとしても。
逆にずっと変化しないのであれば、自分の認識が拡大していない、もしくは成長していない のかもしれない、と心配しないといけないかもしれません。 また、ワクワクすることは複数あってもいいと思います。そのときは、仕事の配分を自分で決めることも習得していく必要があります。自分の能力を多方面で発揮することはこれから先、 複業していくうえでも重要です。
昨今は、人生100年時代への対応が必要とよく言われます。その中でよく使われる言葉が、「リカレント教育」です。「リカレント」とは、「繰り返し流れを変える」という意味で、社会人の「学び直し」のことを言います。
しかし、大事なことは何を学ぶかです。今までの教育のように、ただ知識を詰め込み、知ることだけで自己満足するようなら受験勉強の焼き直しであり、ただの物知りで終わってしまいます。それでは、失われた30年の二の舞となってしまいます。
東京都初の民間人校長として有名な藤原和博氏は、それをこう語っています。「みんなと一緒の時代には正解はひとつしかなく、その正解を当てる情報処理能力が求められた。しかし、いまは違う。知識や技術、経験をぜんぶ組み合わせて、他者が納得できる解を見つけ出す情報編集能力が大事」
社会が成長している時は、覚えたことや習ったことを正確に再現するレコーダー的能力があれば、ある程度成功できました。過去の経験則や、同業者や競争相手の成功事例を踏襲すれば成功したからです。しかし、現代のような変化のスピードの速い成熟社会では、価値観は多様化し、「解」はひとつではありません。
成熟期とは、市場が飽和状態のときであり、停滞期でもあります。多様な価値感の中で成功するには、新しいものを考え出す創造力が必要となります。創造力とは、様々な知識や情報を組み合わせて新しいものを作り出すという、編集能力のことです。
まさに、人生100年時代に生涯現役をめざすなら、今までの覚える教育ではなく、新たな発想を得るためのリカレント教育が必要となってきます。それは、言いかえるなら、アントレプレナーシップという創業者精神のことです。
人から必要とされる人になるため、いくつになってもアントレプレナーシップを発揮し、新たな事業やプロジェクトを始められる人でありたいと思います。
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