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ピザか現金か

今日のおすすめの一冊は、辻秀一氏の『「与える人」が成果を得る』(ワニブックス)です。その中から「やる気を高めるには」という題でブログを書きました。

本書の中に「ピザか現金か」という心に響く文章がありました。

『モチベーション3・0』(講談社)の著者、ダニエル・ピンクがTED (スピーチフォーラム)で行なったモチベーションに関する有名なプレゼンでも、ハイパフォーマンスの秘訣は内発的な動機であると述べています。

彼は、非常に有名な「ロウソクの問題」という実験を通じて、「金銭的なインセンティブは全体的なパフォーマンスに対し、マイナスの影響を持ちうる」という結論を導きました。 ハイパフォーマンスの秘訣は「報酬と罰」(アメとムチ)ではなく、見えない内的な意欲にある。 

つまり、「自分自身のためにやる」という意欲が、パフォーマンスを向上させるというわけです。 内発的なモチベーションの重要性は、多くの学者が提唱しています。

 ダニエル・ピンクのプレゼンにも登場した、行動経済学者のダン・アリエリーもそのひとりです。 数々のユニークな実験でイグノーベル賞を受賞したダン・アリエリーは、モチベーションに関する実験でもユニークかつ大変説得力のある報告をしています。 

ダン・アリエリーによれば、金銭的な報酬よりも、感謝などのほめ言葉と、その人の一番好きな食べ物のほうが高いモチベーションになり、しかも長続きするというのです。 

アメリカのある会社で行なった実験です。 1日の労働成果に対する報酬として「現金」「上司からめったにもらえないほめ言葉」「ピザの無料クーポン券」の3つを提示したところ、社員のモチベーションが最も上がったのはピザ、2位は僅差でほめ言葉だったそうです。 

しかも数日後には、さらに意外な結果が待っていました。 報酬として現金ボーナスを提示されたグループは、ピザ・ほめ言葉のグループに比べて13・2%も生産性が落ちたというのです。 

現金の金額は30ドル。 日本円で3000円未満ではありますが、臨時収入は金額によらずうれしいものです。 しかし、その効果は一時的でしかないことがこの実験でも証明されています。 

好きな食べ物をプレゼントされたり、上司から感謝されたりするのは、人から与えられるという点では外発的です。 しかし、ここで注目してほしいのは、「好きなもの」や「感謝」は、「お金」よりもやる気を引き出すということです。 

損得で動く人は、条件によって気持ちや行動がコロコロ変わる。たとえば、「自分の都合のいいときだけ利用しようとする」「自分中心で思いやりがない」「見返りを求める」・・・。

「金銭的な報酬よりも、感謝などのほめ言葉と、その人の一番好きな食べ物のほうが高いモチベーションになり、しかも長続きする」と言う言葉を胸に刻みたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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