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使われやすい人間になれ

今日のおすすめの一冊は、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の 生き方の教科書』(致知出版社)の中から、田村一二氏の文章です。その中から「し続けること」という題でブログを書きました。

本書の中に、道場六三郎氏の「使われやすい人間になれ」という心に響く文章がありました。

ある時、近所の魚屋の親父さんが病気に罹(かか)り、「手伝ってほしい」と声が掛かります。 子供の頃から家業を手伝っていたものの、活発だった私には、一切埃を立てずにずっと座って作業をする仕事が性に合わず、元気のいい魚屋に憧れて働き始めました。
十七歳の時のことです。 魚屋といってもただ魚を売るだけではありません。仕出しもしていたため、魚をおろして刺身にしたり串焼きにしたりと、見よう見 まねで包丁を使っていきました。
二年が経った頃、仕入れ先の旅館のチーフから、「六ち ゃん、早く手に職をつけたほうがいいよ」と の助言を受け、私は料理人になれば食べるの には困らないだろうと思い、本格的に料理の世界に身を投ずる決意をしたのです。
地元の調理師会の会長さんに頼んで紹介状 を書いてもらい、その方の弟分が経営する東京・銀座の「くろかべ」という日本料理店で 働くことになりました。母親としては、周りから嫌われたり、いじめに遭ったりすることが一番心配だったのでしょう。家を出る私に、 「六ちゃん、人に可愛がってもらえるようにせないかん」と言葉を掛けてくれました。
実際、「くろかべ」にいた一年余りの間、店の親父さんや先輩、お客様から随分可愛がられましたが、それはひとえに両親の教育のおかげです。両親は浄土真宗の信仰に篤く、事あるごとに礼儀や作法、人としての生き方を説いてくれました。両親から受けた教えの数々は、紛れもなく私の財産となっています。
「何も分からないうちは我を出してはいけない。鴨居と障子がうまく組み合わさってスム ーズに開け閉めができる。それが合わなくな れば、障子の枠を削る。上の鴨居を削る人は いない。だから、鴨居がお店のご主人で、六ちゃんは障子だ。我を削っていくのが道理というものだよ」
「親や先生のいる前では真面目にやって、見ていないと手を抜く人がいるけど、とにかく神仏は全部見てござる。だから、陰日向があってはいけない。どんな時も一所懸命やらな きゃいけないよ」
これらの言葉に従って、朝一番に店に来て先輩の白衣と靴を用意しておいたり、ボロボ ロになった高下駄を修繕したり、あるいは、 親父さんから「ガス台が汚いから綺麗にしろ」 と言われれば、翌朝四時まで徹底的に磨いてピカピカにしたり......。どうやったら親父さんや先輩が喜んでくれるかということを常に考え、身を粉にして仕事に打ち込みました。
そうやっていると、思いがけず先輩が料理のレシピノートを見せてくれたり、新しい仕事を回してくれるようになり、どんどん料理の腕を磨くことができたのです。 上の人から「あれをやれ、これをやれ」と 言ってもらえる存在になれば、様々な仕事を経験でき、使われながらにして引き上げても らうことができる。
ゆえに、仕事をする上で最も大事なのは「可愛がられる人間、使われ やすい人間になること」に他なりません。

使われやすい人間は同時に「頼まれやすい人間」です。何か頼んだときに、すぐ嫌そうな顔になったり、嫌々返事をするという人には頼み事はきません。気持ちよく「はい、かしこまりました」「承知しました!」と喜んで頼まれごとを引き受ける人には、どんどん頼まれごとがきます。

人には「頼まれやすい顔」と「頼みにくい顔」の二つのタイプの人がいます。そして、頼まれやすい顔の人は、可愛がられる人ですし、使われやすい人です。

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