リノベーションまちづくりサミット2022・沼津
「リノベーションまちづくりサミット2022・沼津」という2日間のイベントに初めて参加した。初日の9月22日は仕事で遅くなり、最後の回の『「Z世代のまちづくり」が未来を照らす』にギリギリ間に合った。
モデレーターは「みんなの図書館さんかく」の土肥潤也氏。もうこの世界では知らない人のいない有名人。「図書館さんかく」という摩訶不思議なシステムを考え、焼津に第一号をつくった28歳の若き起業家だ。その「図書館さんかく」もこの2年でなんと全国に50館まで広がった!
セッションの相手は、追沼翼氏(27歳)。山形で、まちと建築の可能性を探る「株式会社オブザボックス」を大学院1年のときに設立し、もう一つ会社も経営している。
もう一人は、今村安里(あすか)氏(26歳)。学生時代、世界20ヵ国を旅したが、最終的に秋田県の男鹿市に移住した。そして、男鹿市で唯一の女性郵便局員(配達員)となり、地元のおじいちゃん、おばあちゃんに可愛がられたという。
その後、男鹿のコンシェルジェを目指して、男鹿駅周辺広場の企画開発やイベントをしている会社に転職した。出身は鹿児島県だが、「秋田には何もない」というイメージを変えたいという。
もう一人は、たかはしくうが氏(26歳)。鹿児島市で学生時代に「はたおり」を起業。「ライフスタイルデザイン」がキーワードで、就活イベントや企業と学生の接点作りをして、将来は大学を鹿児島に作りたいという。鹿児島からリモートで参加だ。
今回このセッションで強く感じたのは2つ。
1つは、全員がZ世代というくくりは嫌だ、と言っていたこと。Z世代の中にも、動く人は動くし、動かない人は動かない。だから、「Z世代を代表して意見を」と言われるとかなり違和感があると言っていた。
これは、中高年でも、シニア世代というくくりでも同じ。生涯現役と勉強し続ける人もいれば、まったく時代についていけない人もいる。世代や、男や女、というカテゴライズは危険だ。
2つ目は、「まちの活性化」とか「町おこし」という言葉に違和感を覚えるということ。「まちの活性化」や「町おこし」という言葉にはどこか上から目線で偉そうな響きがある。自分の好きなことや面白そうなことをやっていった結果が、「町おこし」につながるわけで、「町おこし」を目指してやっているわけではない、と。
このことは、私も何年も前から思っていたことで、非常に共感した。「町おこし」に代わるようなぴったりした言葉がないので使っているが、結局、町が活性化するのは、面白い人たちが商店街や町にやってきて、面白い店や会社を立ち上げ、それに共感した人々がそこに集うから、結果として活性化するのだ。
行政や会議所がいくら、お題目のように「商店街の活性化」と言っても、面白いことを具体的に立ち上げる人が誰もいなければ、ただのかけ声だけのイベントをやるだけのことになってしまう。
なぜその町に行くかと言えば、誰か面白い人に会いに行く、ということだ。そうでなければ、昔ながらの、あそこを見て、ここも見てという、物見遊山の観光旅行になってしまう。
とにかく、土肥氏のファシリテートが神的に上手で、聞きたかったことや、本音など、すばらしいエピソードを聞くことができた。
そして、登壇者それぞれのスピーチは、ギラギラした感じがなく、それでいて地元愛にあふれていた。この手のセッションによくある、ヘンな熱に浮かされているようなのとは違い、淡々と進行し、ちゃんと力も抜けていて、最後まで心地よかった。
聞き終わって、さわやかな余韻が残った。そして、男鹿、山形、鹿児島に無性に行きたくなった。