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ロボタクシー

今日のおすすめの一冊は、山本康正氏の『2030年に勝ち残る日本企業』(PHPビジネス新書)です。ブログの題名も同名の「2030年に勝ち残る日本企業」としました。

本書の中に「今後の自動車業界」についての興味深い話がありました。

自動運転の技術開発は、パソコンやスマートフォンのOSに似ています。自動運転AIというOSを握られたら、他の自動車メーカーはそれに従うしかありません。 例えば、ブランドはアップルカーだけれども、自動運転AIはアマゾン、といったことが起こるでしょう。もしそうなれば、アップルはアマゾンにそれなりの利用料を支払うことになります。
そのため、今まさに、各社が自動運転AIの開発で鎬を削っているのです。 自動運転AIの開発で必要なのは、圧倒的なデータと、それを 処理するアルゴリズムです。そして、クラウドも欠かせません。
現時点では、テスラ、グーグル、アマゾン、GMクルーズが4強となっていますが、いずれは自社でクラウドを持つアマゾンやグーグルを中心に連合が形成され、iPhoneとアンドロイドで携帯のOSが二分されたように、激しい競争になると、私は予測しています。その結果、他の自動車メーカーの多くが、テクノロジー企業の自動運転AIを搭載するようになるでしょう。もちろん、日本の自動車メーカーも例外ではありません。
自動運転技術がレベルアップし、自動運転車が普及すると、自家用車が売れなくなります。先述のように深圳ではすでに走っていますが、自動運転の「ロボタクシー」が一般化し、安い運賃で便利に使えるようになるからです。
人間のドライバーが乗客を乗せるタクシーの場合、運賃の約7割が人件費だと言われています。ということは、ロボットが自動でタクシーを運転すれば、この人件費が削減されて、これまで700円ほどしていた初乗り運賃が200円ほどにまで下がります。スマホアプリで簡便に車両を呼べ、決済ももちろんアプリ内で完結。ドライバーがいないことで圧倒的に運用コストが下がり、運賃は格安。
そうなれば、多くの人は自家用車を持たず、ロボタクシーを使うようになるでしょう。 特に最近は、車は移動するだけのツールだという感覚を持つ若者の車離れが進んでいますから、ロボタクシーが普及すれば、さらに自家用車が売れなくなることは十分考えられます。 いずれは、新車の販売台数が現在の半分以下に減少するでしょう。
自動車メーカーの車体での売上は大幅に減少します。車を売る企業から、サービスを含めたモビリティを提供する企業に生まれ変わらなければならないのです。 もちろん、フェラーリなどの高級スポーツカーや年代もののクラシックカーのファン、運転という行為そのものが好きな人たちもいますから、車を購入する人がゼロになるとは思いません。ただし、これまでの移動のための手段、ツールという意味合いではなく、あくまで趣味嗜好の対象に変わっていきます。
こうした人たちはロボタクシーを利用する人たちと比べ、かなり少数です。 このようなトレンドのシフトは、これまでも多くありました。例えば、ガラケーからスマートフォンへのシフトです。 スマートフォンが登場する前、日本では電機メーカーがこぞってガラケーを開発・販売していました。
しかし、圧倒的に便利なスマートフォンが登場すると、ガラケーは次第に姿を消し、現在でも利用しているのは、ごくわずかなユーザーに限られています。 コンピュータ業界では、いわゆるスーパーコンピュータ、メインフレームからクラウドにシフトしたのも同じで、IBMからグーグルやアマゾンに主役が変わりました。 このような動きが、これからは自動車業界でも起こります。

今後、山本氏はロボタクシーが台頭してきたらウーバーもなくなるといいます。自家用車が減り(ウーバーの運転手が減る)、価格でも対抗できなくなるからです。また、ドライバーが減るのは、タクシーより、決まった路線を走るバスや鉄道の方が早いともいいます。

また、それに伴って大きな影響があるのが保険業界です。自動運転による事故の減少により保険料(自動車保険そのもの)も見直されるようになります。自動運転によるパラダイムシフトは想像以上に大きなものになり、我々の生活が一変することになります。

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