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深く掘り進める

今日のおすすめの一冊は、齋藤孝氏の『読書する人だけがたどり着ける場所』(SB新書)です。その中から「深い人」という題でブログを書きました。

安岡正篤師の『易と人生哲学』(致知出版)の中にこんな一文があります。

六十四卦の中に、「水風井(すいふうせい)」という卦があります。「水風井」とは、物事が行き詰まり苦しくなった場合の答えが、「井」の卦であります。行き詰って、どうにもならないときには、その事業、生活、人物そのものを掘り下げるより他によい方法がありません。
たとえば、井戸を掘りますと、初めはもちろん泥でありますが、それを掘り進めますと泥水が湧き出します。それを屈せず深く掘り下げると滾々(こんこん)として尽きない清水、水脈につきあたります。これが「井」の卦であります。このように、困ったときには、いくら条件を並べて、よい方法がないかと探しても無駄であります。自己を堀りさげるより他によい方法はありません。
本当によく反省し、修養すれば必ず無限なもの、滾々(こんこん)として尽きない水脈につきあたる、そうなると無限にこれを汲み上げることができるのであります。

我々は往々にして、困ったときは、あれやこれやと手を広げてしまいます。しかし、本当は、広げるのではなく、今自分の立っている場所を深く掘っていくことが必要です。本質は、広さではなく、深さにあるからです。見た目や、上っ面だけを広げても、芯の深いところに魅力やノウハウがなければ、じきに化けの皮が剝(は)がれます。

何か事があったとき、今の仕事、今やっていることから逃げず、その場を、深く深く、掘り進める必要があると思うのです。

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