卒業式のたった一言の挨拶
今日のおすすめの一冊は、リップシャッツ信元夏代氏の「20字に削ぎ落せ」(朝日新聞出版)です。
昔、私が小学校のPTA会長をやっていたとき、人前で話すのがイヤでしかたがありませんでした(今でもそうですけど)。でも、会長を辞めて何年かしたとき、子どもの同級生から、歴代のPTA会長の中で私の話が一番よかった、ということをもれ聞きました。
「ええ!?」あんなに、苦手だったのに…。で、それは、なぜだったかというと、「私の話が一番短かったから」、なんだそうです(笑)。そうなんです。話すのがイヤだったということもありますが、どうせ誰も聞いてないだろうと、できるだけ短くすることだけを考えて話をしたのです。ほとんど、挨拶だけで終わり、って感じです(笑)。
話も文章もそうですが、長く話せば話すほど、回りくどくなり、何を言ってるのかわからなくなります。酔っぱらっているとき、すごくカッコいい言い回しがヒラメイて、それを話をしているうちに、元にもどれなくなった、なんてことありませんか?長くなればなるほど、行ったっきりになっちゃう(笑)。
講演とかはもちろん違いますが、PTAとか色々な会で挨拶がありますが、それ、ほとんど誰も聴いてないですものね。だってどんなに上手な挨拶でも、話の内容なんてひとつも覚えてないです。あ、そうそう、でも、ひとつ例外がありました。それは、私の小学校の卒業式でのことです。「よくそんなの覚えてるな」、と言われるかもしれませんが、あまりにも強烈だったので、忘れられないんですよね。
実は、私の父がそのときのPTA会長でした。父が壇上に上がり、マイクを持ったのですが、なかなか話が始まりません。みんなシーンとしています。そうなんです、父は涙があふれて、一言もしゃべれなくなってしまっていたのです。沈黙の何分かが過ぎ、声をふりしぼり、一言、「卒業おめでとう」とだけを言って壇上を降りました。
万雷の拍手でした。ほとんどの父兄と子どもたちは涙を流し、後にも先にも、あんなに感動的な卒業式はなかったと何回も言われました。人の心を動かすスピーチや挨拶って、案外こういうものかもしれません。あまりに場慣れしていて、立て板に水のスピーチは心に響きませんものね。
心がこもっていれば、情熱が伝わっていれば、たったひとことで人の気持ちを動かすことができるんですよね。
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