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本田宗一郎のおしゃれ

今日のおすすめの一冊は、藤木相元氏の『顔運一致(がんうんいっち)』(角川学芸出版)です。その中から「どんなときも笑顔を忘れない」という題でブログを書きました。

本書の中に「本田宗一郎のおしゃれ」という心に響く一節がありました。

小さな「鍛冶屋」の倅(せがれ)であった本田宗一郎さんが目指したのは、 最初から決して「世界のホンダ」ではなく、赤シャツで昭和天皇に拝謁することが成功の目的であったわけでもありません。

「私はね、オートバイが好きなんです。だから日本一のオート二輪屋になりたいんで」 これが、ある日、韓国からの帰りの空便で偶然隣り合わせになった私が聞かされた言葉でした。 

「そりゃ簡単ですよ。まずレースで世界一になることからですね」 私は冗談とも本当とも考えないで答えたものです。まさかそれが本当になろうとは、その時私も本田さんも考えもしなかったことでした。

 後年、「私は自分の仕事を誇りに思っています。でも世界のホンダは藤沢君(創業時からの同志)が創り上げました」と公の場所で、例によってちょっとハニカミながら、ホンダを褒められていたのを懐かしく思い出します。

何事によらず、大きく成功、出世する勝者の顔には、二つの特徴が見られます。まず広くて前に出た額の下に、八の字形の太い眉が鋭い目を優しげにカバーして、限りない人の良さを見せています。

次に大きくて下に垂れた耳は「地獄耳」と言い、情報収集に長けているのです。本田さんはまさしくこの顔でした。 しかも「牛顔」という四角な相貌で、観相学でいう動物顔の棟梁の顔でした。一見その活動は鈍重に見えた時もありましたが、確実に目的に向かって無駄のない歩みを継続されました。 

さらに本田さんは大変なおしゃれで、ある時はオートグッズで、ある時はジーンズで、夜の席は羽織袴で颯爽たるものでした。 「俺は一人の俺じゃねーよ」と言って、服装で自分の変身を楽しんでおられました。

本田宗一郎氏の『やりたいことをやれ』(PHP研究所)という本の中にこんな一節があった。

人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになれる人である。そのかわり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩んだことのない人は、まず人を動かすことはできない。私はそう思っている。

また他人を動かすには、自分が「格好よくなりたい」と思うことも必要である。格好よくというのは、他人によく思われ、よくいわれたい、という意味である。うすっぺらなようだが、これはひとつの真理である。

この格好というのはデザインみたいなもので、自動車だっていいデザインでなければ売れないのと同じである。格好いい、ということは、他人に好かれることの基本のひとつなのだ。

まさに、本田宗一郎氏の「おしゃれ」の話と同じだ。おしゃれも、デザインのセンスと同じところがあるからだ。おしゃれ心のある人がつくった車や二輪車には、ワクワクする感性が詰まっている。

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