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つつしむとは

今日のおすすめの一冊は、松原泰道師の『松原泰道の養生訓 戒語(かいご)』(三笠書房)です。その中から「長生きする人はよく歩く」という題でブログを書きました。

本書の中に「つつしむとは」という心に響く文章がありました。

今日、病気の原因の多くは、ストレスにあるといってもいいのではないでしょうか。そんな“ストレス時代”を生きる私たちにとっても、この益軒の言葉は、十分示唆に富んだものです。 

さらに、ここで注目すべきは益軒が「言(ことば)をすくなくして...」と、発言と養生との間にある、微妙な関連性に言及している点です。 

「言語をつつしみて、無用の言をはぶき、言をすくなくすべし。多く言語すれば、必(かならず)気へりて(気力が減じて)、又、気のぼる(興奮する)。甚(はなはだ)元気をそこない。言語をつつしむも、亦(また)、徳をやしなひ、身をやしなふ道なり。」 と述べます。

すなわち、言葉をつつしむことは精神を安定させることになり、ひいては人徳を豊かにし、身体をも健やかにする道である、ということなのです。 

かの有名な臨済禅江戸中期の高僧白隠も、若いころは病弱でした。その白隠が、「つつしみを おのが心の根とすれば 言葉の花はみごと咲くなり」 と詠じています。

彼は、無理に気の利いたことを喋ろうとしなくても、心を安定させれば、おのずと美しい言葉も発せられるというのです。 言葉をつつしむことによって、心が安らぎ身体が健やかになるばかりでなく、時折発せられる言葉それ自体に輝きが増すというのです。

そうすれば、対人関係も円滑に進み、心地よいものとなりましょう。益軒は、中国唐代の詩人・白楽天の語「福(さいわい)と禍(わざわい)とは、慎(つつしむ)と慎(つつ)しまざるにあり」を引い て、同感の意を表しています。

神社本庁総長、田中恆清氏は「つつしみ」についてこう語っている。

日本には「包む」文化があり、中のものが美しく大切なものであることを相手に伝えます。この大切なものを包む、隠す文化は、己の感情を表に出さない日本人の美徳にも通じ、「つつしみ」という言葉にもつながっています。

慎みとは、決して出しゃばることなく、控えめで、軽はずみな言動をしない姿勢です。言葉も同じで、目上の人には尊敬語や謙譲語を使うことで、自分を慎み、相手を敬う気持ちをきちんと伝えることができるのです。そして、目に見えぬ尊いものに対して、敬いの心を持つ、それが本来の慎みの意味です。

さらには、慎みという言葉は、「他人を思う」「愛情を持って大事に扱う」という意味の「いつくしむ」という言葉にも通じています。心に余裕がないときには自分のことばかり気にしがちですが、慎みの気持ちがあれば周囲を慮ることができます。

まず自分から相手に心を砕くと、やがて、心と心が通じ合うようになるものです。《慎み深い姿勢は、品性を醸(かも)す》(神様が教えてくれた幸運の習慣/幻冬舎)より

言葉をつつしむことが、ついには身体を大事にすることにもなるという。どんなときも、つつしみの気持ちを大事にしたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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