“とにかくやり始める”と末梢からスイッチが入る
今日のおすすめの一冊は、中野信子氏の『あなたの脳のしつけ方』(青春文庫)です。その中から『“キリが悪い”ところでやめる「ツァイガルニク効果」』という題でブログを書きました。
本書の中に「“とにかくやり始める”と末梢からスイッチが入る」という興味深い文章がありました。
とはいえ、やはり人間ですから、どうしてもやる気が起こらないこともあります。デスクに向かう気がどうにも起こらない。ペンやキーボードに触る気がどうしても起こらない......。じつは、これも脳の特徴を考えると当たり前のことなのです。
いったいどういうことでしょう。 脳はとても洗練された器官のようですが、その重量の割には燃費の悪い臓器で、働かせるにはかなりの酸素や栄養が必要です。とくに何か新しいことをするときには、相当なエネルギーが必要となります。だから、脳としては余計なエネルギーがかからないように、なるべくいましていることを変えたくない。
いましていることをできるだけ継続しようとするし、逆に新しいことをしようとする際には何らかのブレーキがかかるようになっているのです。逆に一度始めてしまえば、続けようというカが働くのです。つまり、始めてしまえば、その後は苦もなくやり続けられるということ。
要はやる気を起こさせるには、とにかくやり始めること、が何より重要なのです!そもそも、なぜやる気が起きないのか。それは、まだ始めていないためにそのタスクの"魅力”がイメージできていないことが大きな要因です。だから「面倒くさいこと」や「大変なこと」といったハードルばかりが頭に浮かんできてしまう。
これを解消するには、その作業が意外に楽しいということを、身体の“末梢”から 教えてあげることです。末梢とは、文字をタイプするときの「指」や、ものごとを見る「目」、身体を動かすときの「筋肉」や「皮膚」などのこと。まずはそれらの末梢を無理やりにでも動かしてみて、そこから作業の楽しさを脳に伝えるのです。
たとえば、「文章をタイプするのって、やり出すとけっこう楽しいものだな」とか、「繰り返し練習をするのって、やればやるほどクセになるな」といった感覚です。誰でも経験があるのではないでしょうか。 たとえやる気が起きなくても、まずは無理にでも始めてみて、手や目などの末梢から脳に作業の楽しさを伝える。そしていざやり出せば、脳がそれを続けるように働きかけてくれる。
脳の構造上、「やる気は、やり始めてから出る」ようになっているのです! いざ、やり始めてみてもどうしても気分が乗ってこない場合は、心からそのタスク がイヤだという可能性が高いので、誰か得意な人に任せてしまうか、あるいは思い 切って仕事を変えることを検討するのも、長い目で見れば得策かもしれませんね。
「とにかく手を動かし始める」には、「〇〇をしたときは、✕✕をしないと気持ちが悪い」というようにクセづけするのも効果的です。 たとえば「寝間着に着替えたら、歯磨きしないと気持ちが悪い」とか、「コーヒー を淹(い)れたら、必ず企画書づくりを始める」とか、「〇〇の音楽をかけたときは、部下の書類をチェックする」などです。ぜひ、自分ならではの「開始のルール」をつくってうまく利用しましょう。
理屈や論理が先行する人は、行動が鈍いのが常です。なぜなら、行動するまえに理屈で考えてしまうからです。それは感性が鈍っているともいえます。「感動なき民族は滅びる」(行徳哲男)という言葉がありますが、まさに理性や知性だけを磨き続けると、感性が摩耗します。笑いがなくなり、感動や感激もなくなり、そして行動が鈍ります。
現代ほど、「とにかく走り出すこと」、「動き出すこと」が必要な時代はありません。なぜなら、変化があまりにも早いからです。行動多き人でありたいものです。
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