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本物の楽天主義
今日のおすすめの一冊は、島地勝彦氏の『はじめに言葉ありき おわりに言葉ありき』(二見書房)です。その中から「今日の異端は明日の正統」という題でブログを書きました。
本書の中に「本物の楽天主義」という心に響く文章がありました。
《本物の楽天主義が本物の幸運を運んでくる》
人によっては、すべてのことを最悪に考えるタイプがいる。 そういう考え方をすると、どんどん気持ちが暗くなり、物事が悲観的なベクトルに動いていく。 どんなトラブルに巻き込まれようと楽天的に考えると、向こうに明るい光が見えてくる。
中学校を二回も退学させられた今東光僧正は、悲劇のどん底に落とされても、「失望するなかれ」と奈落(ならく)の底から這い上がった。 類(たぐ)い稀(まれ)な明るさと岩をも砕く情熱と、ときに自分をも笑い飛ばせるユーモアのセンスで、79年間の生涯を見事に明るく生き抜いた。
亡くなる直前、わたしがいただいた書には「遊戯三昧(ゆげざんまい)」と書いてあった。 遊びのなかにこそ真実があるという意味である。 明るい性格の人は幸運をまわりにまき散らす。
長距離ランナーの英雄ザトペックは軍靴を履いて女房を背負って森の中を走って鍛えた。 “人間機関車”はオリンピックのマラソンで見事金メダルを勝ち取った。 後年、ソ連がプラハに侵入してきてザトペックにいった。 「ソ連に同調するならスポーツ大臣にしてやる。さもなくばウラン鉱の便所掃除をしろ」
生来の楽天家のザトペックは喜んでトイレ掃除を選んだ。 これが一瞬プラハの春がきたかにみえたチェコスロバキアの現実であった。 ソ連に屈服せずあえてトイレ掃除を選んだザトペックこそ真の英雄である。
人間は欲望の塊である。 困難な道を選ぶよりも楽な道を選ぶのが普通の人間のやる決断であるのだが、ザトペックは喜んで楽天的に困難な道を選択した。オリンピックのマラソンの金メダルは、だからますます輝き真の英雄になった。
◆今東光僧正は、流行作家として世に出たが、のちに反逆して文壇を離れ、天台宗の僧侶となり、参議院議員などもつとめた。 作家の瀬戸内寂聴は弟子。 「人生は、冥土までの暇つぶし」 とは、今東光僧正の言葉。
困難に出会ったとき、「人生は、暇つぶし」、と思えるなら、もう半ば問題は解決したようなものだ。 楽天的な考え方は心を軽くしてくれる。 楽天的な人は、軽くて、とらわれず、飄々(ひょうひょう)としている。 「軽さ」は、無類の「明るさ」に通じる。 楽天的な人は、まわりを明るくする。
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