講演で質問が多く出るテクニック
今日のおすすめの一冊は、瀧本哲史氏の『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社)です。その中から「アイデアを話したらパクられてしまう」という題でブログを書きました。
瀧本哲史氏は発言や質問を重視する講演や授業形態を取るそうです。それに関してこんな話がありました。
こういう場で質問するのって、ある種の自己顕示欲の開示みたいな空気があるじゃないですか。なので、この会場も、たぶんみなさん、手を挙げにくいんです。でもじつは手を挙げても大丈夫なんですね。理由は二つあります。
理由その一、まずこここで手を挙げて、ヘボい質問をしたとしますよね。「それ、さっき言ったじゃん」みたいな。「おまえ、理解度低いな」みたいな感じでみんな顔をしかめます。でも、多くの場合、そういう質問の内容って、他の人も本当のところはわかってなかったことが多いんですよ。
なので、「さっき言ったじゃん」みたいな顔をしていても、心の中では「じつは俺もよくわかってなかった。グッジョブ!」と思ってます(会場笑)。だから質問してもゼンゼン大丈夫なんですよ。それが理由その一。
理由その二は、僕、この手の討論系の授業をすごくたくさんやっているので、得意なんですね。なので、テクニックがあります。どんなにヘボい質問が出ても、何事もなかったようにその質問を善意に解釈して、「グッド・クエスチョンですね」みたいな感じにして応える。
そうするとまわりの人たちは、「あ、この質問、一見ショボいと思ったけど、じつは鋭かったんだ」みたいな感じになって(会場笑)、「そういう視点はぜんぜん持ってなかった」みたいな感じになって、何事もなかったように物事が過ぎていって、質問した人も「いや、そういう意味じゃなかたんだけど、ま、いっか」みたいな感じですべて円満に収まりますので、じつは質問するリスクはゼロなんです(会場笑)。
…という話をすると、さすがに手が挙がってくると思うんですけど、どなたか質問があればお挙げいただければ。(会場20人くらいがいっせいに挙手)
講演会や勉強会で質問タイムがあっても、一般的にはなかなか質問は出ません。「こんな質問したらレベル低すぎて笑われる」とか「誰も手を挙げない時に挙げるのは恥ずかしい」といった心理が働くからです。そして、いざ質問をしても、講師が「それ、さっき講演の中でいいましたよね」などと言われると、とたんに場はシラーっとしてしまい、後の質問は出なくなります。
結局、瀧本氏のいう通り、講師が質問を歓迎しているかどうかにかかっているということになります。これは、講演でも学校の授業でも同じです。講師や先生が、質問の場を盛り上げる雰囲気をつくる、これ本当に大切ですね。
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