しゃべる倍聞け
今日のおすすめの一冊は、植西聰氏の『勇気がもてる 運命の言葉』(成美堂出版)です。その中から「自慢話をすると人は遠のく」という題でブログを書きました。
本書の中に「しゃべる倍聞け」という心に響く一節がありました。
《自分自身を主題にした話はつつしんだほうがいい。》 (一七世紀のスペインの哲学者 バルタザル・グラシアン)
バルタザル・グラシアンは哲学者ではあるものの、万人にわかりやすく自己啓発のノウハウを説いた作家としても知られている人物です。その彼の見出しの言葉は端的に言うと「自分の話はつつしんで、相手の話を聞くことの大切さ」を説いています。
アメリカであった話ですが、昔、トップセールスマンの話術をマスターしようと、三人の優秀なセールスマンに同行した男がいました。「彼らはどんなセールストークを用いて、お客に商品を売るのだろう」
興味津々に三人を観察していくうちに、男はだんだん拍子抜けしてしまいました。 なぜなら、三人とも自分の主張したいことをほとんどしゃべらず、相手の話を黙って聞いて、相づちを打ったり質問したりするだけなのです。
これにはわけがありました。 人はついつい自分の経験したことをしゃべりたがるところがあります。この時、聞き手が「すごいですね」「それからどうなりました」と相づちを打てば、「この人は私に興味、関心を示してくれている」ということで、話にいっそう身が入るようになります。
そうやって、感動を分かち合ったり、共感してあげれば、お互いの距離がグッと狭まり、いい雰囲気が広がります。それが、最終的に商品の購入に結びついていたのです。 口は一つですが、耳は二つあります。
つまり、しゃべることの倍、人の話を聞くように努めれば、相手の「自分のことを気にかけてほしい」という欲求を満たしてあげ ることにつながるため、今度は相手が自分のニーズに応えてくれるようになるのです。
「話し三分に、聞き七分、うなずき、あいづち、驚きの表情」という田中真澄氏の言葉があります。「うなずき」「あいづち」「驚きの表情」は傾聴の三動作とも言われています。
人の話を聞くには我慢がいります。なぜなら、人は、自分のことを話したくて仕方のない生き物だからです。誰かにほめてもらいたい、認めてもらいたい、共感して欲しい、という性質があるからです。
「しゃべる倍聞け」という言葉を胸に刻みたいと思います。
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