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名刺が無くなる時代の働き方

今日のおすすめの一冊は、酒井光雄氏の『不況を乗り切るマーケティング図鑑』(プレジデント社)です。その中から「社会の前提が変わった」という題でブログを書きました。

酒井光雄氏は『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』(プレジデント社)の中で、こう語っています。

アメリカの小売市場は5兆ドルといわれるが、その5分の1が2020年までにネットに移行すると予測されている。アマゾンは世界中の倉庫に10万台以上のロボットを導入し、今後さらに増やす計画だ。アマゾンはロボットを導入することで個別の倉庫当たり年間2200万ドルを節約できると試算している。将来、ドローンや自動運転車での配達も視野に入れており、アマゾンの従業員が1人増えると、リアルの小売店の従業員が2人減るといわれている。
自動運転が実用化されると、全国のタクシー、トラック、バス、ウーバーなどで運転している人たちは転職を余儀なくされる。その一方、ユーチューバー(YouTuber)に代表される動画クリエイター、ブロックチェーンのエンジニア、データサイエンティスト、AIに精通したエンジニア、プロeスポーツ選手といった新しい職業も生まれてくる。
定型化やマニュアル化できる仕事は、人間が携わる必要はなくなり、人間だからできる仕事、ITやAIでは代替できない価値を創造する仕事に私たちは取り組むことになる。人の寿命が企業の寿命を超える時代では、人は一生をひとつの企業で終えることはできなくなり、2社以上の企業で働くことが当たり前になる。
社会にとってなくてはならない存在になれば、その人の社会的価値は高まり、人生の選択肢が増える。また就職して働くだけでなく、起業して世界を魅了する企業に成長させることができれば、社会により大きく貢献できる。マーケティングはビジネスのためだけに存在するのではなく、私たち個々人の可能性を広げる翼にもなり得るサイエンスだ。仕事はもとより、読者の可能性を最大限に拡張させるためにもマーケティングの力を身につけてほしいと心から願っている。

また、本書にも詳しく紹介されていたリンクトインの創業者、リード・ホフマン氏のこんな言葉もあります。

終身雇用の時代にも戻れず、現状維持もできないならば、今こそ雇用主と社員の関係を見直す時ではないだろうか。ビジネスの世界は、相互信頼と相互投資、そして相互利益を高めるような新しい雇用の枠組みを必要としている。転職を繰り返す傭兵のようなジョブ・ホッパーにならなくても、社員に、個人のネットワークを広げる行動、起業家精神に富んだ行動を促す。そんな枠組みが、一つの理想となるだろう。
そのような雇用の枠組みがあれば、企業自身も、変化へのどん欲さや社員への要求水準の高さを保ちながらも、社員を使い捨て資産のように扱おうとは考えなくなる。雇用を「取引」ではなく「関係」としてとらえるための枠組みを示すこと、雇用を「アライアンス」だと考えてみよう。
自立したプレーヤー同士が互いにメリットを得ようと、期間を明確に定めて結ぶ提携関係である。マネジャーと社員がお互いを信頼して相手に時間と労力を投入し、結果的に強いビジネスと優れたキャリアを手に入れる。「アライアンス」は、そのために必要な枠組みとなるのだ。
アライアンスの関係は、雇用主と社員が「どのような価値を相手にもたらすか」に基づいてつくられる。雇用主は社員に向かってこう明示する必要がある。「当社の価値向上に力を貸してほしい。当社も『あなた』の価値を向上させよう」ベイン・アンド・カンパニーのチーフ・タレント・オフィサー、ラス、ハーゲイも、新入社員や社内のコンサルタントに向けて同じことをいっている。「我が社は君たち(一般的な労働市場で)の市場価値をさらに高めるつもりだ」
一方で、社員は上司に向かって次のように明示する必要がある。「私が成長し活躍できるように手を貸してください。私も会社が成長し活躍するための力になりましょう」社員は会社の成功のために時間と労力を投入し、会社はその社員の市場価値向上のために時間と労力を投入する。ただカネと時間を交換するのではなく、互恵的な提携関係を結ぶことで、雇用主と社員がこの関係に投資でき、より大きな果実を狙うために必要なリスクを負えるようになる。(ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用/ダイヤモンド社)より

コロナ禍によりDXが加速し、社会の前提が変わりました。働き方も大きく変わり、会社という形態やビジネスモデルも変化せざるを得ませんでした。なかなか進まなかったDXも「Go To Eat」などにより強制的に変わりました。よくも悪くも、変化が進んだのです。会社も個人も、今、これをきっかけに変われなければ、この世界から去るしかありません。

まさに、名刺のなくなる時代、生き残りをかけて、さらに勉強し、行動することがますます必要となってきました。

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