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あらゆることを読み取って生きる現代人

今日のおすすめの一冊は、樋口裕一(ゆういち)氏の『「頭がいい」の正体は読解力』(幻冬舎新書)です。その中から「日本人の読解力が落ちている」という題でブログを書きました。

本書の中に「あらゆることを読み取って生きる現代人」という心に響く文章がありました。

現代人はあらゆることを読み取りながら生きている。読み取りにたけた人間が頭のいい人間であり、優れた人間であり、できる人間だといってよいだろう。

たとえば、人と話しているとき、顔の表情、ちょっとしたしぐさ、言葉の使い方などから、その人の気持ちを読み、その場の雰囲気を読む。これも言うまでもなく読み取りにかかわる。これは人の心の読解力にほかならない。

人間関係を読むのも読解力にかかわるといってよいだろう。今、誰と誰がどのような友情関係、恋愛関係にあるのか、ある出来事によって力関係はどのように変化したか。頭のいい人間はそれを読み取ることができる。

みずからの会社の商品の市場でのあり方、会社の進むべき道なども、もちろん読むべきことがらの大きなものだ。これらを読んでこそ、的確に現状を把握し、これからの方向性を定めることができる。

そもそも仕事のほとんどは読み取りにかかっている。太古であれば、空の様子、周囲の動植物の動きなどから、これから先の天気を読み、周囲の状況を先読みして、自分の行動を決めただろう。それにたけた人間が知的な人間として力を得ることができただろう。 

現代人はもっと複雑な読み取りを行っている。様々なデータを読み取り、現状を理解し、自分の取るべき行動を決め、その影響を読み取る。他人の書いたレポートを読み取り、会議で他人の話を聞き、状況を読み取る。読み取りに成功したら組織はうまくいき、 失敗したら組織はぎくしゃくしていく。 

天気予報も株価予測も科学的な実験もすべて、ばらばらの兆候を再構築し、そこから意味を取り出し、検証してその全体像を読み取っていく。実はこのような解析、分析、理解などと呼ばれる行為はすべて大まかには読解といってよい。 

人間は日々読解して生きており、読解力によって物事を理解し、そうすることで行動を決めている。 読み取るとは、まずは様々な断片的な兆候を発見し、その断片をつなぎ合わせ、そこに一つの意味ないし方向性のようなものを見つけることから始まるだろう。

そして、いくつもの兆候の関連性、相関性、因果関係を組み立て、論理的な整合性を見つけ出す。仮説を立てて自分の考えが正しいかどうかを確かめながら、先を読んで、自分の読解が正しいかどうかを見極める。それを経験的に積み重ねるうちに正しい読解ができるようになる。 このような作業を誰もが行っている。 

そして、言うまでもなく、文章の読解もこれとまったく同じ筋道をたどる。

太古の昔、人は、状況を読み取ることができない者は生きていくことができなかった。動物や植物など、水や食料になるものがどこにあるのか、人を襲ってくる野獣はいつどこからくるのか、雨露をしのげ快適に過ごす住居はどこに作ればいいのか等々。これらのことを先読みできなければ、あっと言う間に人類はこの地上からいなくなっていただろう。

これは、仕事においてもまったく同じことが言える。読み取りができないトップのいる会社は早々に市場から撤退することになる。

現代においても、読み取りができない人間は人間関係がうまくいかず、結局は仕事もできないというレッテルを貼られることになる。つまり、場の空気を読むことができない人間だ。それが、その場の雰囲気から状況を察する力だ。

それができなければ、人を喜ばせたり、楽しませたりすることはできない。同様のことは、「読解力」にも言える。本の内容や、レポートや会議の中身を読み取る力。相手の話の内容を読み取る力。それらができなければ、社会生活はうまくはいかないということだ。

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