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こんまり流「人生をEX化する」方法

今日のおすすめの一冊は、尾原和啓氏の「プロセスエコノミー」(幻冬舎)です。ブログも同名の「プロセスエコノミー」として書きました。

本書の中にプロセスエコノミーの個人の事例として、「こんまりさん」が取り上げられていました。


プロセスエコノミーが広がった世界において、個人の生き方はどう変わっ ていくかということを考えていきたいと思います。 2010年の年末に発売されたこんまり(近藤麻理恵)さんの著書『人生がときめく 片づけの魔法 改訂版』(河出書房新社)は、世界8カ国で翻訳されてシリーズ累計1300万部の大ベストセラーになりました。
こんまりさんの夫である川原卓巳さんは、こんまりさんの凄腕プロデューサーです。 2020年末、川原さんが『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』(ダイヤモンド社)という新刊を出版しました。この本を読むと、こんまりさんの生き方はまさにプロセスエコノミーそのものであるということがよくわかります。
こんまりさんは5歳のときには、お母さんが専業主婦だったこともあり、ESSEや オレンジページなどの雑誌を定期購読し、お母さんより先に封を開けて読み始めていたそうです。 お母さんが主婦を楽しそうにしていたから、とにかく良い主婦になりたいというのが こんまりさんの当時の夢で、雑誌を読みながら家事を楽しんでいました。
料理はうまくなる、裁縫もうまくなる。なのに、片付けだけはやれどもやれどもリバウンドしてキレイにならない。 その結果、逆に片付けにのめり込んでいったそうです。 「なんで片付けても片付けても散らかるんだろう」 それを研究し続け、5歳のときに「あ、なるほど。ときめくものだけを残せばいいの か」という着想を得て、初めて片付けがリバウンドしなくなったのです。
でももっと研究したいと、片付け終わると違う場所を片付け始めるのです。学校やお兄さんの部屋、友達のところなどをぐるぐる回るようになる。大学に入るとこんまりさんにとって思わぬ幸せが訪れます。一人暮らしの友達が増えてきたのです。彼ら彼女らの家は片付けられる格好の場所になりました。
友達に声をかけては、「ちょっとお願いだから片付けさせて」と言って、家を訪ね歩く。 すると「こんまりちゃんが遊びに来ると家がすごいキレイになる」と口コミが起こる ようになります。
そのうちに自分の知らない人からも「お金を払うからやってほしい」と言われるようになり、19歳から仕事になっていきます。 「片づけコンサルタントとして活動していく中で、あっという間に半年先まで予定が埋まるようになります。
新規のお客さんは半年後にしか受けられない。そこで、片付けのメソッドを本にします。その本が大ヒットし、日本中で知られることになるのです。 アメリカのニューヨークタイムズベストセラーリストでも1位になり、10週連続1位を記録。拠点をアメリカに移し、今ではこんまり流片づけコンサルタントという片付けの資格の仕事を8カ国の方が取得し、約700名の方が日々片付けの仕事をしている状態になりました。
2019年初頭には、Netflix で「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」(原 題 : Tidying Up with Marie Kondo)というシリーズが公開されました。こんまりさんが散らかった家庭に出かけて、一緒にお片付けをするドキュメンタリー番組です。これもまたすさまじい大ヒットとなります。
こんまりさんの生き方はまさにプロセスエコノミーそのものです。 ベストセラーを出版したいと思っていたわけでも、アメリカを拠点に活動したいと願っていたわけでもありません。ただ片付けという行為自体に夢中になり、誰よりも楽しんでいただけなのです。
「本来、片付けというのは、めんどくさいもの、後回しにしたいもの。でもそれを片付けの変態のこんまりさんは、楽しいものとして捉え、さらに楽しいものとして表現をすることによって、こんまりメソッドに触れた人にも波及していき「お片付けって楽しいな」という口コミが連鎖的に起きていったのです。
この話はとても興味深い示唆を与えてくれます。 それはプロセスエコノミーの時代にはEXという考え方が大切なのではないかということです。 これは前述の川原さんが使い始めた言葉で「エンターテインメントトランスフォーメ ーション」と解釈します。
人はワクワクする生き物だから、あらゆるプロセスに楽しさを実装することでより可能性が広がっていくのではないかという発想です。 川原さんがEXという考え方を着想したのは田村耕太郎さんとの地方創生に関しての打ち合わせの中でした。
地方創生の課題解決の過程自体をエンタメ化していくのが非常に重要だと田村さんが 指摘したのです。 「正しい」を「楽しい」にすると、そこに価値を感じられなかった人にも届き、色んな人を巻き込んでいける。難しい課題も正しく解決するよりも楽しく解いていくほうがよ いのではないか。そんな田村さんの発言を川原さんはEXという言葉に変換します。 こんまりさんの人生はEXそのものでした。

プロセスエコノミーで、モノを作ったり、片付けたりする過程がクローズアップされるためには、その工程が「楽しく」なければ、あるいは「楽しく」見えなければなりません。誰も好き好んで、辛いことやつまらない工程を見る人はいないからです。

だからこそ「EX」という過程自体をエンタメ化し、楽しんでしまう、というのはこれからの、社会問題や仕事などの問題解決には必要不可欠の要素となると思うのです。そのためには、いろいろな過程をオープンにする必要があります。

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