自分に勝つ
今日のおすすめの一冊は、藤尾秀昭氏の『プロの条件』(致知出版社)です。ブログも同名の「プロの条件」として書きました。
本書の中に「自分に勝つ」という心に響く文章がありました。
「人に勝つ者は力有り。自らに勝つ者は強し」と『老子』(第33章)はいう。
他人と争ってこれを打ち負かす者は力があるといえるが、本当の強者ではない。私欲私情を克服できる者、すなわち私心に打ち勝つことができる者こそ、真の強者である、ということである。
王陽明もまた、同じようなことをいっている。「山中の賊を破るのは易しく、心中の賊を破るのは難し」
克己(こっき)は古来、聖賢が目指した道である。思えば、天は人間にだけ克己という心を発達させた。その心があることによって、人間の進歩向上はある。そのことを我々は肝に銘じたいものである。
最後に、新井正明氏(住友生命保険元名誉会長)の言葉を紹介する。「暗いところばかり見つめている人間は、暗い運命を招き寄せることになるし、いつも明るく明るくと考えている人間はおそらく運命からも愛され、明るく幸せな人生を送ることができるだろう」
「自らに勝つ」ことに腐心してきた人の尊い言葉である。
昨今、政治家でも実業家でも、トップの座にまで到達しながら、没落してしまう例は多いです。多くは、謙虚さを忘れ、偉そうにしたり、横柄になったり、見下したり、という勘違いによる克己の心を失ってしまったことによるものです。
人は、放っておくと、弛(ゆる)みができ、スキができてしまいます。金銭にしてもだんだんと公私混同してしまったり、自分に甘くなります。緊張感が薄れてしまい、慣れが生じるからです。
心に忍び寄る怠惰な心や弱い心を退けるには、「克己」という、自分自身を鍛えあげる良き習慣を身につけるしかありません。「人に勝つのではなく、己(おのれ)に勝つ」他人との比較ではありません。そして、常に未来に希望を持ち、明るいところを見つめることです。己に厳しい人でありたいと思います。
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