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運と偶然

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『適応力 新時代を生き抜く術』(主婦の友社)です。その中から『まず「イエス」と言うこと』という題でブログを書きました。

本書の中に「運と偶然」についてのこんな素敵な文章がありました。

世界には78億人の人間が暮らしています。その中から、理想の相手を一人ひとり丁寧に選んでいる人はどこにもいません。たまたま相性がよい人と出会い、たまたま結ばれたに過ぎません。人生にとって何よりも大事なパートナー選びでさえ、偶然に左右されているのです。
僕の人生のモットーは、「悔いなし、貯金なし」です。そのときどきに好きなことをやればいいという楽天的な考え方です。何よりも僕は、わくわくドキドキすることが大好きです。せっかくAPU(立命館アジア太平洋大学)という岸に流れ着いたのですから、これも運命だと受け入れて、APUを少しでもわくわくドキドキする場所に変えたいと仕事に励んでいます。同じ人生を送るのなら、わくわくドキドキする人生のほうが絶対に面白いはず。そのために人間は勉強をするのです。
新型コロナウィルスが世界中でこんなに猖獗(しょうけつ)を極めると想像した人は誰もいません。明日何が起こるかは誰にもわからないのです。「何かが起こったときに、強いものや賢いものが生き残れるわけではない」とダーウィニストは指摘しています。つまり、人間が動物である以上、生き残るために必要なのは「強さ」や「賢さ」や「大きさ」ではなく、「運」と「適応」がすべてなのです。
適切なときに、適切な場所にいるという「運」を生かしながら、その運に対応できたものだけが生き残っていけるのです。それがダーウィン以来の自然淘汰説の神髄です。僕は人生をそのように考えています。人生は「運と適応」ですから、川の流れに身を任せていけばいいのです。好きなものが見つかるまで、やりたいことが見つかるまで。
そして偶然、どこかに流れ着いたらそこで「適応」できるように頑張ってください。頑張るために必要となるのが「知識×考える力」です。でも、駄目だったらまた川の流れに身を任せていけばいいのです。『置かれた場所で咲きなさい』という名著があります。著者である渡辺和子さんはとても立派な方です。
「置かれた場所で咲けるように頑張ったらいい」と。「でも、咲けなかったら、世界は広いから、好きなところに飛び出していけばいい」と。皆さんも自分のやりたいことや好きなものを見つけるまで、広い世界にどんどん飛び出していってほしいと思います。

どんなに自分で目標や夢をしっかりと決めたつもりでも、それも、所詮言ってみれば偶然や運の上で成り立っています。自分でしっかりと決めたつもりの結婚でさえ、ほとんど偶然の出会いによって成り立っているのですから。大事なのは、どこで蒔かれても、どこに種がこぼれても、そこで一所懸命に咲くということです。

つまり、どんな境遇に置かれても、どんな時代に生まれたとしても、そこで精一杯おもしろがって、楽しむということです。そして、周りの人を喜ばせるということです。「運と偶然」を大事にして、わくわくドキドキして生きていきたいと思うのです。

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