ツールを使って、10時間かかる仕事を3時間に
今日のおすすめの一冊は、中島聡氏の『ニュー・エリートの時代』(KADOKAWA)です。その中から「コロナがもたらすビジネスの二極化」という題でブログを書きました。
本書の中に「Slack 」についての興味深い記述がありました。
【リモートワーク時代は「ツールの選択」で生産性に差がつく】 本章では「リモートワークに必要なツールを使いこなせるか」による二極化をふまえ、ではどうツールを使えばいいかを具体的に解説します。まず、リモートでのコミュニケーションに関して、対照的な二つの出来事があったので、その紹介から始めましょう。
一つ目は、Slack に関わるものです。Slack は、ひとことで言えば「仕事向けのチャット・ サービス」で、最近はメールに代わるコミュニケーション・ツールとして、IT企業だけ でなく、一般の企業でも広く使われるようになってきた、注目のサービスです。
とあるプロジェクトを始めるに当たって、Slack のワークスペースを作り、関係者を招待してそこでコミュニケーションを始めたのですが、なかなかうまくいかないのです。私や、私と昔から仕事をしているエンジニアは、ごく普通に意見を書いたり議論を戦わせたりするのですが、そうでない人(特に文系の人)はめったに発言してくれません。
そして何かというと、「Zoom 会議をしましょう」と言い出すのです(私が日本にいたら、 「会って話をしましょう」になっていたと思います)。Slack のようなコミュニケーション・ツールが何のためにあるのかまったく理解しておらず、がっかりしました。
Slack は、メールが持つ煩わしさ(途中から会話に参加した人が時系列で情報を追うのが難 しいなど)をなくし、会議を減らすことで、一人ひとりの生産性を極限まで高めるべく作 られたツールなのです。それをまったく理解していないから、Slack 上で発言をせずに「細 かなことは会議で話しましょう」になってしまうのです。
細かなことこそSlack上で丁寧に議論し、時間が限られた会議ではできない深いレベルの意思疎通を実現すべきです。
【電話もメールもなしで、ハワイ の コンドミニアムを購入】 二つ目の事例は、ハワイの不動産会社とのコミュニケーションです。ワイキキにコンドミニアムを買おうと思い、物色を始めました。物件の数が多いので、Google Drive (Microsoft Office と同様の機能を持つサービス)にスプレッドシートを作り、そこにめぼしい物件の住所、間取り、値段、広さなどを記入して管理していました。
その後少しして、ハワイの不動産会社(担当は10代後半のイタリア出身の女性)を紹介してもらったので、「使いこなせるわけがないだろうな」と思いつつ、そのスブレッドシートのURLをシェアしてみました。
すると驚いたことに、彼女は私がやっていたことをすぐに理解し、新しい物件を追加し てくれたり、私が得ることができなかった情報などを補足してくれました。そのおかげで、その後の彼女とのコミュニケーションがとてもスムーズにできました。
Google Drive 上のスプレッドシートを共有すると、複数の人が同じデータにアクセスできるだけでなく、変更もリアルタイムになされるので、この手の作業をするときに使いこなせればとても便利なのです。 結局、彼女とは一度も電話で話すこともなく、メールと Google Drive を通じて物件選 びをすることができました。 私はこれまで、技術者相手に Google Drive を活用したことはありましたが、不動産会社に勤める文系の人と使いこなすことができたのは初めてで、とても感動しました。
【ッールを使って、10時間かかる仕事を3時間に】 私がこれまで出会った日本の文系の人たちは、メールはかろうじて使えるものの、SlackだとかGoogle Driveとなるとお手上げな人が本当に多いと思います。
日本では近年、「働き方改革」という言葉がよく使われ、「夜8時以降の残業禁止」などの施策が行われているようです。これは、何かが間違っているように私には思えます。 インターネットの世界には、働く人たちの生産効率を高めるためのツールがあふれています。
そんなツールを(文系の人たちも含めて)全員が使いこなし、会議の時間を減らし、これまで1日10時間かかっていた仕事を3時間でこなせるようになってこそ、本当の働き 方改革が起こせると思うし、そこで初めて「5時退社」が可能になるのです。
Slack を上手に使えば、会議の9割以上が不要になるはずです。Google Drive を使えば、 作業中のドキュメントファイルをメールに添付して交換しているうちに、どれが最新のものかがわからなくなったりしません。 この手のツールは、技術者だけのものではありません。
「私はパソコンが使いこなせないから」などの言い訳は、まったく通じない時代になったのです。私が会社の経営者であ れば、そんな人たちから最初にリストラします。 日本の皆さんには、ぜひともこの手のツールを使いこなして、生産効率を高めることに 努めていただきたい。そして、「生産効率が先進国の中で最も低い国」などという不名誉 なタイトルは早急に返上していただきたいと思います。
【「非同期コミュニケーション」という必須スキル】 先日、OwnPlateの開発に関して取材を受けたときに、「開発メンバーの間のコミュニケーションは基本的にSlackで行い、Zoom や Skype を使ったミーティングすらしていない」と話したところ、とても不思議そうな顔をされてしまいました。
私のようなリモートで働くことに慣れた人たちは、Zoom や Skype などのビデオ通話に よるウェブ会議サービスを使って頻繁にミーティングをしているのでは、と誤解している人がやはり多いようなのです。
新型コロナウィルス騒ぎでにわかに注目が集まったリモートワークですが、私はすでにここ数年間、リモートでの仕事をしてきているので、コロナ危機下においても仕事に関し ては何の不自由さも感じていません(もちろん、スポーツや外食に関してはとても不自由に 感じていますが)。
メール、Slack、Github、Google Drive、Dropbox などを活用して、逆にオフィスに通っていたときよりも生産効率良く仕事をしています。 注目していただきたいのは、私が使いこなしているツールにZoomやSkypeが入っていない点です。
私から Zoomミーティングを提案したことは一度もありません。他の人から「Zoomでミーティングがしたい」というリクエストを受け、参加することも週に1、2度ありますが、それも実はとても迷惑だと感じています。 私から言わせれば、初対面の人に(相手の時間を奪う)Zoom ミーティングを申し込む こと自体がとんでもなく失礼なのですが、それをまったく理解していない人が大半です。
多くの人が、「リモートで働いている人たちは、Zoom やSkypeを多用しているに違いない」と考えているようですが、大間違いです。そもそも、「リモートで働く= ZoomやSkypeでミーティングをする」という発想自体が間違いなのです。
ミーティングの目的は、ほとんどの場合、情報の共有と意見交換ですが、これだけ多様なコミュニケーション・ツールが揃っている時代に、そもそも「ミーティングをすること」が本当に最適な手段なのか、ということを今一度見直すべきだと私は考えています。「情報の共有」であれば、Slack、Google Drive、Dropboxなどを使えば、ミーティングよりずっと効率的に行うことが可能です。
ビジネスチャットツールではSlackの他に、Chatworkという日本で開発されたものがあります。Slackはアメリカで開発され約1200万人が使っていてWeb制作や海外に強いツールです。片やChatworkは国内で人気が高く26万人のユーザーがいて、IT系以外の会社でも使われ、タスク管理に強みがあります。
仕事を効率化するため、SlackやChatworkを使いこなすことが、これから益々必要となります。また、それ以外のツール、Google DriveやGoogleドキュメント、カレンダーなどを使って生産性をさらに高めたいと思います。
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