オープンな場での評価は進む
今日のおすすめの一冊は、本田直之氏の『パーソナル・トランスフォーメーション』(KADOKAWA)です。その中から「自分を変える絶好のタイミングがやってきた」という題でブログを書きました。
本書の中に「評価」についてのとても興味深い一文が会ったのでシェアします。
今、とても伸びている会社に、スキマバイトアプリのタイミーがあります。例えば、レストランが「忙しくなりそうなので、このあと1時間だけ手伝ってほしい」と考えたりすると、スポットでアルバイトを募集できる仕組みです。こうした仕組み自体は昔からあったのですが、タイミーはこれとは違うのです。
それこそ1時間だけ働いてほしい、とレストランが考えたとき、困るのは使えないアルバイターが来てしまったときです。教えないといけないし、忙しいのに逆に邪魔になるかもしれない。そこでタイミーがやっているのが、登録しているアルバイターの評価が記されていることです。たくさんのアルバイトを経験したりして、こいつはできる、ということになると、高い点数を得られるのです。
レストランがもし即戦力が欲しい、となれば、点数の高いアルバイターを選べばいいのです。それはすなわち、他の店が高く評価したということです。ただし、時給は高い。アルバイトの世界で、できる人には高い時給がつく、という仕組みがすでにできあがっているのです。
最もわかりやすいのは、Uberかもしれません。これまでのようにタクシーとお客さんとの関係が1対1であれば評価はなかなか難しかったためサービスレベルはご存知の通りそれほど高くなかったのですが、Uberの中ではたくさんいるドライバーを比較することができるわけです。だから、多くの人が、ドライバーを簡単に評価することができる。そうすると、点数を出すことができるようになる。ドライバーは高得点をとりたいのでいいサービスを提供するようになる。
しかし、これはUberに限らなくなると思っています。アウトソーシングのサポートスタッフもそうですが、外に出ると評価されやすくなるのです。5点評価を取れたら、その人に仕事がどんどん集中するし、当然収入も上がる。逆に、オープンなところで評価がされないとしたら危ない。実は評価されていないのに会社で偉そうにしている人などは、典型的な危険なパターンです。
今は給料をもらえているのかもしれませんが、外に出たら、あっという間に本当の力がわかってしまう。利害関係のないオープンな場では、思い切り厳しい評価になるようなことが起こり得る。一方で、企業や組織では何かの理由であまり評価されていなかった人が、オープンな場に出て正しく評価されることもあるでしょう。
これから、Uberのような仕組みが普通の会社員にも導入されないとは限りません。オープンな評価にさらされる可能性が高まっていくということです。逆に、本当に力のある人は、その力をより評価される時代になります。もっとも、会社にいる間にオープンな評価の仕組みにさらされなかったとしても、会社を離れたら同じことになります。
役職を離れたり、定年退職したりしたら、誰もまわりにいなかった、誰もついてきてくれなかった、というのは典型例です。そうならないためにも、早くオープンな評価にさらされてしまう、というのも、1つの方法です。オンラインサロンなどの外部のコミュニティに身を置くことも、自分をオープンな場で評価してもらうことにつながります。
「評価」というと、中国の信用システムが有名です。芝麻信用(ジーマしんよう)は、中国のアリババの関連会社が開発した個人信用評価システムです。
例えば、どんな商品をいくらで購入したか、クレジットカードのキャッシングやオンラインレンディングサービスで借りた金をきちんと返済しているか、「シェアバイク」や「シェア傘」といったシェアリングサービスを利用した際に借りたものを期日までにステーションに戻しているか、「滴滴出行(ディディチューシン)」のようなライドシェアサービスや飲食店を予約した際、無断でキャンセルをしていないかなどである。
これらのデータに、アリペイに登録されたユーザーの学歴や、そのSNS上の人脈の広がりや深さ、これまでにどんな仕事をしてきたかという履歴などを加味して、個人の信用度合いをスコアで表示したのが芝麻信用なのだ。(日経Xトレンド)
その他に、会社の身分や、車や不動産のあるなし、交通マナーやルール違反の有無、等々でも信用が判定されるといいます。個人情報を表に出すことを嫌う日本は、いい悪いは別にして、この「信用スコア」の面では、中国と決定的な差がついてしまいました。しかし、遅かれ早かれ、この評価という問題は日本でも必ず浸透していくと思います。
なぜなら、それはデジタルの宿命であり、あらゆることの見える化という面でも進化せざるを得ないからです。「オープンな場での評価は進む」という言葉を肝に銘じたいと思います。
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