フランス人と飲む地元の日本酒
父とフランス人のフレッグとが出会ったのは9年前。フレッグが父をナンパしたことが始まりだ。
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父が大学時代の友人と車で岐阜の山へ行った時のこと。山から降り、駐車場へ向かうと、同じく山へ来ていたフレッグと日本人の奥さんが父に話しかけてきた。父が声をかけたくなるような素敵なロマンスグレー、なんてことは全くなく、彼らの目に止まったのは父が乗っている車のナンバーの「大宮」という文字。
大の盆栽好きのフレッグにとって「大宮」は憧れの地なのだ。
埼玉県にある大宮(さいたま市)には「盆栽町」という町がある。その名の通り今も盆栽園がいくつもあり、盆栽美術館もある。外国からの観光客も多くやってくる盆栽好きには知られた町。
彼らは「大宮」ナンバーを見つけ、思わず父に声をかけてきたのだ。祖父の趣味が盆栽で、庭には一面盆栽だらけ。。。ということを知っているはずもないのだが、声をかけた父も盆栽の話しを出来る人だったことで盛り上がり、そこから交流がはじまり、埼玉⇔フランスと互いの家を行き来する仲になった。
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そんな彼らが2年ぶりに実家へ遊びに来るとのことで、日本酒を持っていくことに。選んだお酒はこちら。
「五十嵐 別誂 純米直汲み」
せっかく埼玉が縁で出会っているのだから埼玉のお酒にしようと、埼玉県飯能市で造られている「五十嵐酒造」のお酒を選んだ。
香りが華やかで、直汲みなこともありほんのりシュワッと微炭酸。14度と少しアルコール度数低めながらしっかりした味わい。
2人も香りのよさと微発泡感をとても気に入ってくれ、たくさん飲んでくれた。
なかでも一番気に入ってくれた理由が『地元のモノ』だから。
彼らも日常生活でなるべく『地元のモノ』を取り入れるようにしているとのこと。だから埼玉で埼玉のお酒を飲めるのは最高だと喜んでいた。
そもそも埼玉県って日本酒造ってるの!?
そう言われることもあるし、埼玉出身の人でも知らなかったりする。知名度は低いが、実は県内に35もの酒蔵があり、生産量はなんと全国4位!!!と、意外にも日本酒県なのだ。
東京にいると全国の美味しいモノが食べられる。全国のアンテナショップがあるし、各地の料理屋さんもある。日本酒だって地元よりも東京の酒屋の方が買えてしまうことだって多くある。
それはそれで幸せなこと。
でもやっぱり、リアルにその地へ行ってその地のモノを味わうことはもっと幸せなこと。そして東京だって埼玉だって『地元のモノ』はある。そういうものにもっと目を向けていきたいと改めて思った。
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フレッグの最近のお気に入りはウィスキー。とても珍しいけどフランスでもウィスキーを造っているそうで、それを手に入れたら一緒に飲もうと約束した。
いつかフランスへ行き、フランス産のウィスキーと『地元のモノ』をいただきたい。
そのときはまた埼玉の日本酒を持って行くからね。
やっぱり日本酒っていいなぁ。
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