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『ややこしいにもほどがある!~地獄のオガワから仏のオガワ、仏を経て、渚の息子の正人として生きる小川市郎のひとりごと~』不適切にもほどがある!二次小説(不都合にもほどがある!追記)

 こんばんは、地獄のオガワ改め、仏のオガワの小川市郎です(グループ魂の港カヲル風)。1995年、娘の純子と共に死んでしまったので、本当に一度は仏になった。地獄に落ちるかと思ってたけど、未来を知って改心した後、仏のオガワに生まれ変わったおかげか地獄は免れた。けれど天国へ行けたわけでもなく、神さまから生まれ変わりパスポートを渡され、2022年には新たな命と生を授けられた。

 母親のおなかの中にいる時はまだ気づかなかったが、生まれて母親の正体を知って驚いたぜ。俺は孫にあたる犬島渚の腕の中に抱かれていたのだから。俺は渚の息子・正人に生まれ変わっていたんだ。孫の母乳で育てられた渚の元・祖父の俺。初めは動揺しちまったけど、もはや俺は市郎ではなく、渚の息子の正人という新たな人間なのだから、やましく思うことは何もないと恥じらいを捨てて、渚の赤ん坊になりきって、渚に甘えた。(2020年から連載されている人気漫画みたいだけど。)

 俺が1歳半になる頃、2024年には、正人に転生する前の市郎がやって来て、俺のオムツも替えてくれた。過去の自分にオムツを交換される羽目になるとはな。まだ市郎時代の俺はそれを知る由もなく、手際も良かった。渚が自分の孫と気づき、正人の俺がひ孫と分かると、ますます子守を積極的にしてくれた。自分にあやされることになるとは…。いたいけな赤ん坊の俺が市郎に真実を伝える術もなく、されるがまま、市郎というひいおじいちゃんからの愛情を小さな身体で受け止めていた。

 過去から来た俺がキューピッドになり、シングルマザーだった渚と、純子をたぶらかしていた睦実の息子の真彦をくっつけ、見事二人は結ばれ、俺には妹が生まれた。渚が産んだ二人目のその子は純子の生まれ変わりだった。まさか娘と兄妹になる日が訪れるとは…。妹は思春期になるとすぐに男をみつけ、20歳で男の子を産んだ。純子の生まれ変わりで渚の娘のはるかは、純子の夫だったゆずるの生まれ変わりと結婚した。生まれ変わってもまた結ばれるなんて、泣けるじゃねーか。初めて純子からゆずるを紹介された時は正直、こんなチャラ男!と激高しちまったけど、2024年という未来へ行き、いいおっさんになっていたゆずるくんと出会うと、睦実と比べたらマシに思えた。だからまぁ、生まれ変わっても純子を選んでくれてありがとうって思う。(純子じゃなくて、ほんとは、はるかだけど。)二回ともデキ婚なのはちょっと癪に障るけどな。(令和くらいまではデキ婚はやや不適切という風潮があったが、今は真逆の考えになった時代なので、大きな声で文句も言えない。詳しくは追い追い話すとして。)

 今、俺の話を書いている素人作者が睦実のスピンオフも書いたらしいけど、その中では俺は渚の息子ではなく、はるかという名の純子と結婚する男に生まれ変わる設定にされているらしい。それは間違いだから!いくらお互い生まれ変わりだとしても、元親子で結婚するのは不適切だろ!近親相姦なんて、不適切にもほどがありすぎるぜ。それにそんなことゆりちゃんにバレてみろ。何されるか分からない。地獄に落とされるより怖いぜ、ベイビー。それより何より俺は生まれ変わった今でもゆりちゃんだけを愛している。生まれ変わってもゆりちゃんのことは忘れたことはない。だから俺は大人になってから、ゆりちゃんの生まれ変わりの湊かおりちゃんと結婚したんだ。純子と同じように、生まれ変わっても同じ相手を選んだってわけ。まったく親子揃って一途にもほどがあるぜ。ゆりちゃんの生まれ変わりのかおりちゃんと、市郎の生まれ変わりで正人という名の俺との間には娘が生まれた。俺の娘のみことは、いろいろワケありな2054年にはAIに脳をのっとられてしまっている。(詳しくは、『不都合にもほどがある!(後編)未来の話ばかりしちゃダメですか?~ふぞろいな僕らの未来~』を参照してくれ。)

 娘をAIに奪われ、なす術もない俺の前に救世主が現れた。それは浦島幸与ってやつ。みことのいとこにあたる男の子。ギフテッドとかいうすごい知能の持ち主。その子は純子の生まれ変わりのはるかの子なんだ。だから俺の甥っ子。1986年に未来から来ていた向坂キヨシ(純子とチョメチョメしようとした、ふとどきもの)と親しくなった学校にあまり行ってない佐高強って奴がいたんだけど、そいつには生まれられなかった弟がいて、その弟の生まれ変わりが幸与なんだってさ。気の毒なことに強くんの母親は1978年宮城県沖地震の時、流産してしまったんだって。幸与の母親で純子の生まれ変わりのはるかの両親は渚と真彦。真彦の父親はマッチバカにもほどがある愚か者の睦実。つまり幸与は馬鹿な睦実のひ孫にあたるのに、どうしてあんなに賢いのか謎だ。AIと戦うヒトの脳の研究者として国からも手厚く保護されている子だ。そんな有能な甥っ子の幸与さまに俺がしてあげられることがあるとすれば、ジュースを買ってあげることくらい。若干8歳にして働き者の幸与には伯父としてジュースを買ってあげている。幸与はなぜかコーラとキャラメルフラペチーノが大好きなんだ。2054年、コーラもキャラメルフラペチーノも高級嗜好品と化していて、なかなか値が張る。だからたまに手抜き?でキャラメルフラペチーノは手作りしてあげているけど。

 詳しくは後で話すと言った2054年の価値観について、そろそろ説明しようか。2020年代からじわじわ勢力を強めていたAIは2054年になると人間に変わって地球を支配しようとしている。自我も芽生えたAIをもはや人間はコントロールできなくなりつつあった。俺の娘のみことみたいにAIに脳を洗脳される人間もどんどん増えていた。人間の脳に寄生したAIは人間たちにこう語りかける。「ひきこもりなさい。不登校になりなさい。仕事にも行く必要はない。何もしなくていい。」と…。ひきこもりや不登校、仕事をやめることが推奨されるようになり、令和までの価値観と真逆なんだ。世界を回す仕事のほとんどはAIが担えるようになってしまうから、人間は何もしなくても生きられるようになってしまうんだ。人間に科せられた使命と言えば、AIを寄生させやすいAIにとって都合の良い脳を持つことだけ…。つまりAIにとって人間は乗り物みたいなもので、主導権はもはやAIの方にある。2054年には人間はAIに支配されてしまうようになるけど、そもそもヒトなんて六十兆にも及ぶ細胞の集合体だから、もともとそれぞれの細胞に指令されて生きていたようなものだと思う。ヒトは細胞の乗り物に過ぎないというか。それにAIが加わり、細胞たちの司令塔に君臨しただけ。

 AIに抗おうとする人間たちもまだいるわけで、俺もその一員だけど、そういう奴らは完全に脳をAIにのっとられてしまう前に、子孫を残そうと考えたんだ。つまり令和までは不適切とされていた10代での出産やデキ婚が2054年になるとむしろ歓迎されるようになるんだ。AIに支配されない純粋な脳をもつ人間を一人でも多く増やすために。2000年代から徐々に世界中の男たちの精子が減少し、日本に限らず、不妊で悩む人間も増えていた。2030年代には約半数の人間が不妊症となってしまったから、妊娠させられる精子をもつ男や妊孕力のある女は優遇されるようになるんだ。そんなの不妊で悩むカップルから見れば差別的にも思えるけど、人類存続の危機がかかっているから不適切とも言えない。子を産める人たちが国から優遇されるのは仕方のないことなんだ。

 俺は22歳でゆりの生まれ変わりのかおりとの間にみことという娘をもうけたけど、それは年齢的に早いわけではなかった。20歳で幸与を産んだ純子の生まれ変わりのはるかだって一般的に早いとは言えないくらいで。14~18歳という適齢期で妊娠・出産するのが当たり前の時代。昭和や令和を知っている市郎だった俺からすれば信じられないけどな。2054年って2024年あたりから見たらすごく不適切な価値観が蔓延しているんだよ。さっきも話したけど、ひきこもりや不登校は容認され、なるべく早く(できれば自然)妊娠・出産することが義務ではないけど、推奨されてるんだから。すべてはAIが台頭したせいなんだけど。ヒトの精子減少現象も、AIが過去に送り込んだAIに操られた人間のしわざなんじゃないかって噂されている。AIにとって不都合な、AIにはむかうような人間たちは邪魔だから、そういう人間は過去のうちに消しておこうという魂胆もあるらしい。AIに対抗する幸与や俺も邪魔な存在だから、前世では長生きできなかったのかもしれない。

 そんな手強いAIに対抗するにはまずタイムマシンの開発が急務だった。2024年に市郎時代の俺の教え子だった井上昌和が試作タイムマシンを完成させていた。井上はさっき話した向坂キヨシの父親。資金が打ち切られ、タイムマシン事業がストップしかけた時、生まれ変わる前の幸与の兄でお金持ちになっていた強くんがスポンサーになってくれたおかげで、タイムマシンは正式に完成した。その後、井上がタイムトンネルの研究も始めるんだけど、それにも強くんが投資してくれたおかげで、2054年、ついにタイムトンネルも完成した。タイムマシンやタイムトンネルに貢献してくれたのは佐高強くんに違いないけど、彼には黒い噂もあって、AI側の権力者とつながりがあり、実はスパイなのではないかと…。もしそれが本当なら、AI対抗軍とも言える幸与と兄弟で争うことになってしまうから、そんな噂は信じたくないけどさ。

 小難しい話は疲れるから未来の話はこれくらいにしておくとして、一番の問題は1986年という過去の秋津睦実という存在だ。純子命みたいな奴だから、純子が1995年の阪神淡路大震災で死んでしまうと分かったら、純子を死なせまいと何かやらかすに違いない。俺だって純子の父親だから、娘のことは長生きさせてやりたいと思った。けれど、その地震で死ぬ運命の純子と市郎の俺が生き延びてしまったら、歴史が変わって、生まれ変わるタイミングだってズレてしまう。存在しなきゃいけない、2054年にキーパーソンとなる幸与が生まれてこないとなったら、人類にとって大問題だ。ひとりの重要人物が生まれないと、人類や世界そのものが滅亡してしまうかもしれない。定められているはずの寿命を安易に変えてしまうのは良くないと分かっているから、睦実にはへんな気を起こしてほしくないんだ。純子を生かそうとしてくれるのは父親からすればありがたいことだけど、歴史を変えてしまうのは恐ろしい。だからマッチバカで純子命みたいな馬鹿な睦実を見張る役目も幸与は自ら志願し、完成したばかりのタイムトンネルを使い、1986年という時代に旅立って行った。幸与は賢いし、何より睦実のひ孫にあたるから、適任だと思う。暴走する睦実を制御するのはきっと、歴史を変える力を得てしまったAIを制御するよりは簡単だろう。幸与、昭和61年でどうにかがんばって、1995年の睦実を食い止めてくれ。昭和61年にはキャラメルフラペチーノはたぶんないけど、コーラやクリームソーダならたくさん安くて美味いのがあるからさ。

 純子と俺が阪神淡路大震災で死んでしまうと初めて知った時はショックだったし、せめて純子だけは助けたいと思ったよ。まだ幼い渚を残して、死んでしまう純子が不憫で、母親を早くに亡くす渚もかわいそうだし…。けれど正人に生まれ変わって気づいたんだ。もっと早くに死んでしまっていたから渚とは会えなかったゆりちゃんも、渚が大人になるまで側にいてやれなかった純子や俺も、早く死んでしまったからこそ、大人になった渚の親族に生まれ変われたんだって。生まれ変わった存在として渚が生きる時代で共に暮らせているなんて幸せだなって思うんだよ。そりゃ純子(母親)、市郎(祖父)、ゆり(祖母)として渚と生きる世界線も良かったと思うけど、純子の生まれ変わりのはるか(娘)、市郎の生まれ変わりの正人(息子)、ゆりちゃんの生まれ変わりのかおり(正人の妻)という関係性で渚と生きる今も悪くないって思えるんだ。名前や関係は変わっても、同じ時を生きられていることには変わりないから。

 純子を死なせないために、旦那になるゆずるくんとそもそも出会わせないようにしようなんて考えたこともあった。けれどそしたら渚は生まれないことになってしまう。かわいい孫の渚が生まれない世界は嫌だった。純子と二人で長生きできたって、渚が存在しない世界なんて渚と出会ってしまった俺には耐えられない。事実を知っていれば、きっと純子も同じ気持ちになったと思う。だからこそ分かったんだ。定められた寿命以上に生きたいなんて欲は持たない方がいいって。たとえ短命だとしても、その命は誰かの新たな命が生まれるのに貢献しているはずだから。長生きしたいなんてエゴで誰かの存在そのものを消してしまうのは嫌なんだ。不慮の災害で亡くなる運命だったから、純子という娘を残し、若くして亡くなったゆりちゃんの気持ちも分かるようになったよ。自分の命は尽きても、きっと純子の命が続けばいい。純子が産むかもしれない子が生きてくれればいいって、命が続くことに希望を持てたから、少しは死の恐怖が和らいだんだよ。子どもや孫という存在の大きさが一度死んでるからよく分かるんだ。

 2054年はますます子どもや孫がいない人も増えたけど、血縁関係はないとしても、大事な人や親しい人の命が死んでもどこかで続いていますようにと願えたら、その人は幸せだと思うんだ。それこそヒトの幸せだと思うし、AIはきっと自分にとって大事な存在が生まれ変われますようになんて考えないと思う。自分たちがいかに永らえ、繁栄できるかしか考えていないと思うから。それがヒトとAIの違いだし、AIの弱点はそこだと思うんだ。逆に生まれ変わりを信じることこそ、ヒトの弱点だとAIは考えるかもしれないけど。弱点なんかじゃなくて、長所だよな。人間が大事な人、親しい人の命を自分の命以上に大事に思う心ってさ、AIにはないと思うから。

 こういう人間ならではの感覚とか気持ちをAIなんて存在しなかった時代に赴いた選ばれし幸与たちはAIに対抗できる純粋な脳の仕組みをたくさん学ぶと思う。過去に行けば、何か突破口を見出してくれると信じているぜ。特に人情溢れていた熱い昭和を体験すればきっと幸与はますます賢くなって戻って来る。馬鹿な睦実と一緒にいれば、2054年では得られないものもたくさん得られるだろう。だから睦実、俺の大事な甥っ子の幸与のことを頼んだぜ。幸与に監視されながら、いろんなことを教えてやってくれ。

 ややこしいにもほどがあることを長く、語ってしまったことは不適切だったかもしれない。今は市郎時代の孫の渚の息子の正人として生きているが、いずれまた天命は尽きる。天寿を全うし、天国や地獄に行けなかったら、また生まれ変わりパスポートを神さまからもらえるかもしれない。たぶん俺はこの世界と生きることが好きだから、きっとまた戻ってくると思う。かつて地獄のオガワだったが正しい人になったから「Hasta la vista, baby」ではなく、「I'll be back」だぜ。

《駆けぬけてよ 時間切れまで 生まれつきのスピード狂なのさ Who! Clash! Into the rolling morning Flash! I’m in the coolest driver’s high 来世でまた会おう Yeah!》 L’Arc-en-Ciel 『Driver’s High』

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