元外資系コンサルが5,000枚のスライドを見て気付いた良いプレゼンの特徴 | #4 人は比べる生き物
この投稿では、前職のコンサルや現職の人材育成・ワークショップなどで出会った5,000枚以上のプレゼン資料、及びその発表の中で学んだ「良いプレゼン」の特徴を少しずつ発信していきたいと思います。今回は「自らの提案を代替案と比べる事の重要性」についてです。
意思決定者の思考プロセス:損をしたくないから比べる
シンガポールに住んでいると結構湿度が凄いのです。湿度が上がるとカビの原因となるので、最近除湿器を買いました。
除湿器をAmazonで調べるとだいたい一番上におススメが表示されるんですね。さて、ここで皆さんに質問です。
<質問>
皆さんは何かを購入する時、Amazonや知り合いが薦めてくれたものを他の類似品と比較せずに迷わず購入しますか?
数百円単位の比較的安価なものの場合は即決される場合もあると思います。但し、数万円~数十万円する家電製品だったら?数千万円する家やマンションだったら?圧倒的大多数の方が色々な選択肢を比較をされるのではないでしょうか?
それは意思決定の際に「損をしたくない」、「一番いいものを選びたい」という心理が働くからです。そのため、多くの人が大きな投資を伴う意思決定をする際に比較検討をするのです。
比較をしないとその選択肢の良さが分からない
有名な栄養ドリンクにリポビタンDという製品があります。このCMはかなり印象的で、いつも肉体派の俳優さんが「ファイトー、一発!」と叫ぶんですよね。
そしてその後に続くのが「タウリン1000mg配合、リポビタンD」という商品説明です。(参考:大正製薬 商品情報サイトhttps://brand.taisho.co.jp/lipovitan/lipod/about.html)
ここで皆さんにまた質問です。
<質問>
タウリン「1000mg」というのは多いでしょうか?少ないでしょうか?
あれだけ大々的に宣伝しているので、暗黙的に「多いのではないか」という仮説が立てられます。しかし、タウリン1000mgが多いのか少ないのかを論理的に説明ができるという方はなかなかいないのではないでしょうか?
そこで一つの情報を加えます。成人一日の推奨タウリン摂取量が800mgと知っていたらどうでしょうか?ここで初めてタウリン1000mgはそこそこ多いと論理的に判断できるわけです。
ここから得られる示唆はなんでしょうか?
良いプレゼンは考え得る他の案との比較も代わりにしてあげる
多くの場合プレゼンはアイディアや製品を売り込み、相手からの支持を引き出すことを目的にしています。そのため、自身の主張を正当化するための情報を揃えるわけですが、自分の案の話だけしても足りないということです。
なぜか?それはあなたの主張がいくら良いものだと分かっても、他にもっと良いものがあるかもしれないという可能性が消えないからです。
これに対処するために、前職のコンサルでは必ず3つの有力案を比較したスライドを用意し、おススメする案の相対的な良さを示すことを習慣にしていました。
そうすることで「もっと他にいい案ないの?」という類の反論及び判断の先送りを高い確率で防ぐことができますし、比較検討を相手に委ね、こちらの都合の悪い方向に議論が進んでしまうことを防ぐ効果もあります。
(鬼滅の刃の富岡義勇の言葉を借りると、「生殺与奪の権を相手に握らせない」ということですね。)
ですので何かを提案する際には、有力な代替案や競合他社との比較を意思決定者の代わりにしてあげ、皆さんの主張の相対的な良さを示すのがおススメです。
まとめ
・必要な投資が大きい程、意思決定者は比較検討をすることを理解する。
・提案時には有力な案を3つ程度並べ、自身の提案の相対的な良さを示す。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
もし宜しければ、次の記事(元外資系コンサルが5,000枚のスライドを見て気付いた良いプレゼンの特徴 | #5 知りたいのはプロセスより結果)も是非ご覧ください。