コーチングとともに抜けたニュートラルゾーン
ずいぶんと長いトンネルだったな。
地中の、どこに向かえばよいのか見当もつかなかった長いトンネルのなかから、やっと出口のひかりが見える。
2022年は「何がやりたいのかわからない」が口癖だった10年来のわたしから解放された、大きな転機の年となりました。
わたしの場合、ここに至れたのはコーチングマインドとコーチングの関わりに出会えたからです。
ウィリアム・ブリッジズが提唱する「トランジション理論」に当てはめてみると、(1)終わり(2)ニュートラルゾーン(3)新たな始まりから成っているとされるトランジションの (1)終わりのタイミングでコーチングに出会い、(2)ニュートラルゾーンがまるっとこの1年間でした。
THE COACHのインテグレーションジャーニーとともに、トランジションをふり返ろうと思います。
インテグレーションジャーニー
インテグレーションジャーニーとは、人生のプロセスはこの図のような7つのプロセスを行き来しているという考えを見立てたもの。わたしのコーチングの学び舎であるTHE COACHが神話研究をもとにした英雄の旅を参照しコーチングと組み合わせてつくられたとのこと。
過去をふり返ると、なんとなく共感するところがあるかもしれませんし、少年ジャンプのような物語を連想すると日常から時計回りに回る展開にしっくりくるかもしれません。
わたしのこの1年ちょっとをふり返ると、しっくりしみじみ当てはまります。当時のnoteも添えながらニュートラルゾーンを完了させたい気持ち。
日常
高校受験時代から困っていました「なにがやりたいかわからない」と。直感と折り合いのすえに現職にたどり着き、挫折を乗り越えながら自分なりに人生で一番頑張ってきました。それでも、いつもうっすら頭をよぎる言葉。5年目前後からできることが増えるのと比例するようにその声は大きくなって、無視できなくなりました。
とはいえ、ずっとわからなかったものがすぐにわかるはずもなく。友人たちは母になっていくけれど、直感的にこの焦燥感をもったまま母になどなれない、という強い感覚がありました。だからなんとなく30歳までには!という感覚。試しにやったことのないいろんなことをやってみるも、何かしらの気づきはあるけれど、上滑りしている感覚だけが残って時間だけが過ぎていました。
旅立ち
そんな折、SNSで流れてきたTHE COACHのコーチングマインドが目に留まります。
これだ!という強い直感と好奇心を抱きました。その気持ちのままに学びの旅に出ることになります。それは「いってきます」とドアをあけるようなはじまりではなく、ひかるものを追いかけていたら地面に空いた穴にすってんころりんと潜るような感覚でした。
はじめはただただ新しく触れた世界につかみきれないよろこびを感じていました。コーチングとは、コーチ(聴き手)とクライアント(話し手)のコミュニケーションによって、クライアントが自ら気づきを得て、行動につなげていくプロセスであり、パートナーシップだと捉えています。
コーチングによって自己理解が深まることや学び仲間との関わりがふえることもうれしいことでした。
特にうれしかったのは、わたしにも「自分の言葉があるのだ」と実感できたこと。コーチングの学びとセッションを重ね、常に問いがあふれる日々が当たり前になりました。すると、自分のなかからいろんな思いが浮かんでくる。
自分には考えがない、考えが浅い、自分の言葉で話せないと思いつづけていたけれど、それは勝手に他者と比較して傷つかなくてすむようにないものにしていただけ。ああ、わたしの言葉だな~と思えたことは本当に感慨深いことでした。
拒絶
一方で、これまでは気づいていなかったわたしの中に当たり前にある判断基準とも出会うこととなります。
それは調和すること・衝突しないことを優先してふるまっていたわたしに対する違和感。わたしの「らしさ」であるはずなのに、そのようなフィードバックにどうにも居心地が悪くなっていきました。
これはコーチとしてはじめましての方と関わらせていただいていたからこそ気づいたことかもしれません。
ずっとしみついているわたしらしさによる恩恵もあるけれど、なにかが抑制されているもやもやが漂ってきました。
出会い
そんなもやもやと向き合いながら、出会い直したわたし。その名も博士マン。博士マンの価値観である実験マインドに気づいたことで、あらゆるアンテナが立ちはじめます。こんなひとと、こんな働き方をしてみたいかも!という価値観にヒットするアンテナです。
おもしろいもので、なんだか気になるな~と思いはじめると求人募集がでるパターンが連続しました。キャリアのちがいは十分理解しつつ、それでもこの部分では応用して貢献できるのでは?という可能性を信じて、会いに行ってみる。違うな・・・と感じたりご縁がなかったり。流れのままに全く異なる職域で3回ほど体験しました。
毎回いつも真剣だから、ご縁がないことにもちろん強いショックをうけます。一方で、少し時間がたつと自分のバイアスにも気づき、縁がなかったことも腑に落ちました。
こんな行動力は、1年前の自分にはとても考えられないフットワークの軽さです。これも、コーチや仲間というそのトライを知ってくれている存在、ダメだった時の声を聴いてくれる存在がいてくれたからこそできたことです。
試練
それでも、ご縁がないことが続くとエネルギーは消耗します。さらに、自分のトライの仕方は一般的な転職のルートにはそぐわないことも実感します。転職サイトの方々と話しても、「個人でうごくことが合っていそうですね」と言われ、絶望と迎合したくないわたしの納得を感じていました。
加えて、「いつごろまでには、こうなっていたい!」という期限を定める癖が発動していました。自分ひとりで完結することには役立っていたその癖も、転職という自分だけでは決められないことにおいては焦りとなりました。気づけば未来を焦り、動きたいのに動けない苦しさにまいってしまいました。
そんなとき、救われたのはコーチやコーチング仲間がただ今のわたしをながめ、受け止めてくれたから。何かが解決しなくても、聞いてもらうだけで、一緒に現状を知ってもらうだけで心が和らぐこと。動けない現実に抗うことで、わたしの中の分断が深くなり、より動けなくなること。その学びを身体の変化をもって実感しました。
成長
思考の望みとは裏腹に立ち止まざるを得ない期間を得て、じっくり立ち止まり、未来ではなく過去~今をじっくり見つめ直す選択をしました。そしてもう一度この問いと向き合うこととなります。「わたしは何がしたいんだろう」
一緒に働きたい人の価値観は直感でヒットするけれど、どんな価値観に共感しているのだろう。わたしが力まずに価値発揮、価値創造できるものってなんだろう。好奇心がどんどんわくものってなんだろう。どんな世界を創り出したいんだろう。
素直になるほどに抽象的な言葉になってしまう。わたしが捉えている社会とズレないように言語化しようとすると、何かが失われていく。そのバランスを取りながら自分のことを具体で言語化したいという思いから、自己理解プログラムに申し込みました(えいやー!の投資)。
コーチングの関わりでも取り扱うことは可能ですが、体系的に短期間で行いたかったがための選択でした。そしてふり返りによって、やりたいこと、というよりいつどんなときも「やってきたこと」に着地します。
それは「在るものを描く」ということ。
これまでは学んだわけでもないし、生業となるような価値になどならないよ、と思ってきたけれど、着地したときはじめて価値になることを信じたいと思えました。
やりたいことというのは、心から信じたいと思えることなのかもしれない。
それは、コーチングマインドをもってわたし以上に信じてくれるコーチがいるから、「ひろのさんにしかできないことだね」と言ってくれる仲間がいるから、実験させてくださる仲間がいるからわたしのなかの信じる気持ちが膨らんでいます。
この気づきは、地中の奥深くで出会った根っこをたどっていったら、また地表に顔を出せた感覚でした。
帰還
これまでをふり返って。
現実思考のわたしが、あらゆる選択をしてきたけれど、外発的な動機の割合が多い選択は希望通りになったとしても限界が訪れるのだと感じています。
内発的な動機として昔からやっていたことは自分にとってとても大事なことだから、可能性がなくなってしまうかもしれないことを防ぎたくて、挑戦という土俵にあげてこなかったのだとも思います。
最初から大した価値はない、ただの趣味だといっていれば傷つかなくて、絶望しなくてすむから。でもそうしているといつのまにか自分の内側のものは無いものだの思いこんじゃって接続できなくなってしまう。
その接続できないもどかしさの中で、自分に向き合うことに主体的になりたいわたしがコーチングマインドを発見してくれました。
そして今、内発的な動機による選択を信じられるのは、現職で勤め、現実的に社会のなかでもやっていけるわたしがいると思えているから、ということも間違いありません。
コーチングマインド、そしてコーチングの関わりはまちがいなく「自分の可能性を信じる」ということに光を当ててくれました。それは自分を大切にすること。
自分と向き合ってこなかったと悔い、自らの逃避を責めてきた10年だったけど、だれよりも自分の可能性を信じているとっても頑固な内側のわたしが怒っていたのかも。現実思考は家族の影響が大きい気もするけれど、信じきれていることもまた愛を注いでくれた家族のおかげです。
人はそれぞれ気づくべきタイミングで気づく。
わたしにはこのプロセスが必要だった。これがわたしの人生なのだとようやく認められるようになりました。
社会に対しては「在るものを描く」ことによる受容を通じて、エネルギーが停滞しているひと(たち)が、エネルギーを循環していくきっかけをつくりたいと思っています。(個人にも組織にも働きかけたいわたしがいます。コーチとしても注力的な活動を再開します!)
自分に対しては「在るものを描く」ことを通じて、わたしの今を連続的に体感していきたいと思っています。
おわりに
11月、改めて価値観や創っていることが合うと感じられる会社に、今度は自己応募という形で採用の問い合わせをしました。ジョブ型の現代でダメ元だ!と保身しつつ、晴れてご縁がつながり2月に転職を予定しています。
コーチングの関わりのおかげで、はじめて自分と向き合うことをし続けた1年を過ごせました。よくやった!
はじめて選択したあらたなはじまりに不安がいっぱいだけど、仕事の概念が大きく変わりそうな期待があります。来年は地上で流れのままに楽しみます。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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