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美しい膝小僧~遥か彼方へ

電車の中で、美しい膝小僧の女性をみた。座ると膝小僧が見える丈のスカートを履いていたのだろう。向かいに座っていたから何気に目についた。

もしかしたら、肌がきれいに見えるパンストを履いていたのかも?いやいや、違う。本当に傷一つなく綺麗だった。透き通るような肌がその女性の若さと、日々の暮らしが丁寧であることを物語っているようだ。

ふと思いが、過去の私に飛んだ。

そうだった。わたしは昔からよく転んでいた。子供のころに転んで傷をつけても、新陳代謝がいいのか傷跡は残らない。クリームを塗るとか、手入れなんてした記憶はなかったが、まあ、すべすべだった。それがいつの頃か手入れをしないと、すべすべを保つことができなくなっていた。

大人になると、身体もいろいろとメンテナンスが必要になる。頭ではわかっていただろうに。20代からのわたしは、知らず知らず身体を痛めつけていたようだ。

お酒に酔って、転倒し膝小僧に傷をつくる。足に合っていない高いヒールの靴を履いて転ぶ、また傷をつくる。などなど。

転ぶのはなぜかいつも、アスファルトの上。そして着ている服が薄い季節ばかりだった。悲しい過去の事実。そのせいで、今でも右の膝小僧はうっすらと傷あとが残っている。

今では、ヒールを履くことは止めたし、酔うほどにお酒は飲まない。そもそも、外でお酒を飲みたいと思わなくなった。もう、身体を痛めつけたくないのだ。

美しい膝小僧の女性さん。このまま美しさを保ってね。身体を痛めつける生活はしないでね、なんて、過去の自分に懺悔とともに願いを込めた。

電車の中の一期一会。

ふと目に入った膝小僧。まじまじと見なくても美しさは光る。

自分の身体を愛しむ。それが、日々の生活を丁寧にすることにつながっていくようだ。

改めて、感じた秋の一日、その一コマ。

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