雨の日
梅雨なので、仕方ないのだけれど雨は苦手です。薄曇りの空から、しとしと雨が降る日は、記憶も意識も曖昧になり、何かをする気も失せてしまいます。ぼんやりとただ時間だけが無駄に過ぎてゆくばかりです。
仕事の日は雨が降っていても、いくらか気が張っているのでなんとかするのですが、今日のように休日の雨はどうしようもありません。あくびをして、伸びをして、横になってはベランダの外に出て空を見たり、電線から落ちるしずくを見ています。
いつの間にか窓の外も暗くなり、今日も終わろうとしているようです。こんな日に他の人は何を思って過ごしているのでしょうか。魔法をかけられたように、遠い昔のことなどを漠然と思い出してみても壊れた映写機がカラカラと回る音に、途切れ途切れの映像が輝きながら流れすぎるだけ。
雨の日は、このように気怠く、森の奥深くで眠る湖面のような一日を過ごすのです。
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