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次元という観点からプロダクトを眺める

 今回は次元という観点からプロダクトを眺めることについて書いてみました。まだメモの段階ですので、ご意見や考察をお待ちしてます!

Summary(60秒サマリー)
 

 1分でちゃちゃっと要点だけ知りたい方はこちらをどうぞ👇

・これからのサービスは次元という観点で考察しても面白い
・四次元ポケットなどエンタメと近く語られる次元
・低次元化により所有感、高次元化により情報量を得る
・直感的な感動を提供するため次元を意識した設計が良いかも

それでは本編に入ります!


第一章 プロダクトにおいて次元を考慮すべき理由

 2021/08/06のリリースでGREE社がメタバース事業に本格参入することが発表されました。
 メタバースとは同時に多くの人が参加してアバターを通じた交流や仕事、遊びなど実社会に近いレベルの自由な活動ができるデジタル世界のことです。


 近年のテクノロジーの進歩により「バーチャルとリアル」、「デジタルとアナログ」がシームレスになる世界がどんどんと近づいてきています。
 その中で「二次元と三次元」という観点で考察するとまた違ったサービスの見え方がありそうですので、ここで考えてみます。

第二章 次元とは?

 
まずは次元の説明から入りたいと思います。一般的な定義では、

n個の変数で状態を記述する時、そのnを次元と言う。例、直線は一次元、平面は二次元、空間の三方向のひろがりを表す時は三次元。


となっています。一次元はx軸のみ、二次元はx軸とy軸、三次元ではx軸とy軸とz軸で座標が表せるということですね。

次元

 本来ですとここから11次元の話までしたいところですが、本筋から大きくずれるので割愛します。。。


第三章 エンタメにおける次元

 エンタメの中で次元が取り上げられることが多くあり、よりその概念を理解しやすそうですのでここで2つほど事例を挙げてみます。

・四次元ポケット
 言わずと知れたドラえもんの四次元ポケットは、次元の性質を理解するのに大変優れています。

四次元ポケット


「n次元のオブジェクトはn+1次元に収納できる」
 例えば二次元のオブジェクトである紙を二次元空間に保管するときx軸方向、y軸方向に広げて保管する必要があります。しかし3次元では紙をz軸方向に重ねることによって2次元空間から見ればオブジェクトは収納されたことになります。
 これと同様の論理で三次元空間のオブジェクトを無限に収納できる性質を持つのが四次元ポケットです。三次元空間から四次元空間に対してポケットでアプローチできるかを無視すると、その性質の違いは大変忠実に描かれています。

・三体
 中国SF小説の三体では物語の中で次元に触れていました。
 三体の世界では高度な宇宙文明にとって次元は可変可能な量であり、その可変性(縮小・削減)を利用して別の文明に致命的打撃を加えていました。
具体的には太陽系(三次元空間)への攻撃として二次元化が行われました。太陽系の天体が次々と絵のように二次元に落ちていく描写は大変残酷なものでした。
 三体は他にも多くの物理法則に触れており、何度も読みたくなるのでおすすめです!

 このようにエンタメコンテンツ内で次元間の移動は興味深く描かれてきました。


第四章 次元と感覚

 前振りはここら辺にして、ここからは次元の変化による消費者体験の一般化をしていきたいと思います。

・低次元化で所有感を得る
 三次元のオブジェクトが二次元に転写される時、消費者にとってどのような体験の変化が起こるでしょうか?

 例えば、日本を代表する千賀投手と待ちで出会ったら「千賀さん」と呼ぶでしょうが、プロ野球チップスのカードになった瞬間に「千賀」と呼ぶ人が多いのではないでしょうか?

 また遊戯王のアニメではキャラクター同士を対戦させるにも関わらず、現実世界と同様必ずカードからモンスターを召喚します。

遊戯王

 消費者にとって低次元に収納することで、「所有感・コントローラブルな印象」を得られると考えられます。
 そのような感覚のもと、「コレクション、取引」に対してのUXが向上されます。

・高次元化で情報量が増える
 これは極めて当たり前の話だと思います。高次元化は新たな座標軸方向にこれまでの空間を積み重ねていくことであり、連続的に情報量が増えていきます。

 ここでは二次元キャラクターの三次元化について取り上げます。数年前のご当地キャラクターブームなど、着ぐるみを通してキャラクターが立体的になることは多くなりました。z軸方向が奥行きであり、高次元化されてはいるもののどこか物足りなさを感じるのは私だけでしょうか?
平面的で十分に可愛いキャラクターに新たな軸が加わることで期待値を上回る感動を与えられているでしょうか。キャラクターの高次元化において、奥行きに加えさらなる情報量が成功の秘訣だと思います。

・双方向コミュニケーション
 ふなっしーは奥行きに加え、「コミュニケーション」によって情報量を増やし三次元化に成功した事例だと思います。これまでの話せない着ぐるみに対し、ユーモアを交えて軽快に返すこのキャラクターは世の中に衝撃を与えました。

ふなっしー

・五感を刺激する施設
 ディズニーランド、USJは「アトラクション、施設」によって情報量を増やし成功しました。行った人誰しもが非日常的だと語るその施設は、五感を刺激することで映画の期待を下回らない感動を与えています。

ディズニーランド

 このように奥行きだけでない情報量の増加が高次元化の成功の鍵です。

まとめると、

三→二次元 所有感、取引UXの向上
二→三次元 情報量増加による体験の向上

があるのではないでしょうか。

第五章 プロダクトにおける次元の設計

 これまでの長々しい整理の上で以下の2点が仮説として出てきました。

①コレクション欲(所有欲求)を刺激するコンテンツは平面的であるべき
 XRデバイスのデータ出力は厳密には平面的かもしれませんが、ここではユーザー体験的に三次元であるためそのような前提にします。
その上で最近では「メタバース」や「NFT」という言葉が注目され始めてきました。立体的なオブジェクトが現実世界よりも簡単に生成される世界線の中で、所有欲求を満たすコンテンツは平面的であるべきか立体的であるべきかは大変気になります。
 個人的には遊戯王のように取引や管理にあたって低次元化、情報の縮小をすることで管理する方法が現在のユーザーにフィットする気がしています。他にも四次元ポケットを仮想空間内に設計し、オブジェクトの情報量を減らさないまま擬似的に無限に管理するなども考えられますね。
 アイドルのブロマイドを集めている友達が仮想世界内のアイドルに対し、どのようにコレクション欲求を満たすか楽しみです。

② 二次元コンテンツにおける三次元への展開

 担当投資先の中でキャラクターIPやバーチャルペットなど、二次元コンテンツを起点にサービスを展開している企業があります。
中長期戦略においてベクトルの方向を何におくかはなかなか難しいものがありますが、「次元」に置いてみるのは面白いかと思いました。
 第四章で挙げたように、単純に奥行きを作ることがフィットではなく、いかに情報量をz軸方向に重ねられるかが重要視するべき指標な気がします。
キャラクターをフィギュアにする際に単純に立体的にするだけでなく、質感や匂い、それが置かれる空間の設計などにより高次元化の成功が近づくかもしれません。

第六章 まとめ

 今回はかなり発散した内容となりましたが、流行りのプロセスエコノミーということでご容赦ください。最近はアカデミアで活躍されている方とお話しするのが楽しみの一つですので、お気軽にご連絡ください
 読んでいただきありがとうございました!

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