『危機』と書いて『チャンス』と読む
【お仕事】
◆オリーブオイルの伝道師
◆オリーブオイル国際コンテスト審査員
◆幸せになる料理と油の研究家
助けてほしい・・・
大人になって、こんなこと言ったことがなかった。
可能な限り人には頼らず、多少きつくても、人には頼らず自分で何とかする、というスタイルで仕事をしてきました。
だから、朝方まで仕事をすることも何度もあったし、
休みを潰して仕事をするなんて、もはや当たり前。
そんな中、
コロナを理由に、仕事の一つ、オリーブオイルの輸入のタイミングが大きくずれ、
オイルがようやく入荷したころには、いつもの卸先飲食店やホテルはあちこち閉鎖や営業自粛。
一般の方に向けて積極的に販売活動をしていなかったので、
知る人だけがご購入頂いていた状態だったので、卸が停まった時、オイルが全く動かなくなった。
数か月後には、新しい出来立ての新油の輸入が決まっており、このままでは在庫600本が売り余るという事態に。
廃棄という言葉が脳裏をちらつく。
厳選に厳選を重ねて輸入しているオイル達に、そんなことをしてよいのか・・・
私を信頼してオイルを託してくださっている生産者の方々は、そんなことをされたら、どういう気持ちになるか・・・
本当にいたたまれない気持ちのまま、悶々とした日々を過ごしていたある日、
思い切って、日ごろからお世話になっている川原卓巳さんに相談しました。
どうしたら・・・と。
勇気を出して伝えた一言を、卓巳さんは真っ直ぐ受け止めてくれました。
卓巳さんのお返事は、【大丈夫、一週間で売れるから。ひろみんが扱っているオイルがものすごく美味しいことはよく知っているから。】
その後、たくさんの方がご購入下さり、オイルは本当に1週間で完売。
たくさんの方からDMを頂き、温かい励ましのお言葉と、オイルが本当においしいという感動のお礼を沢山受け取りました。
どれだけ嬉しくて泣いたことか・・・。
オイルが売れたことはもちろんですが、皆さんの温かいメッセージと、“売れすぎて大変だから手伝いに行くよ!”といろいろな方が実際に手伝いにお越しになりました。
“遠くて行けないから自宅でやれることをやるからと”、遠隔で手伝ってくださった方々も。
新型コロナウィルスの影響は、様々な形でたくさんの方の生活に影を落としました。
これまで、たくさんの方が困り、たくさんの方がいろいろな形で支援を求めていました。私もこれまでに支援依頼の連絡を頂いては、いろいろと購入してきました。
チーズ、パスタ、乾物、野菜、肉、魚、チケット購入、義援金・・・
今まではサポートする側で、自分がサポートされる側になるなんて、思ってもいなかった。
しかも、私は直接支援依頼の連絡をたくさんの方にしたわけではありません。たった一人、卓巳さんに、どうしたらよいでしょうか、と相談しただけでした。
卓巳さんは、すぐにSNSで拡散してくださり、後で知ったのですが、その文章は“つぶやく”とは別物で、“叫ぶ”と呼ぶにふさわしいものでした。卓巳さんが【油オンナ】と笑いながら呼んでくださっていた私への信頼と愛情を感じました。
その後たくさんの方が動いてくださり、SNSで拡散や、知人へ紹介をしてくださったり、クラブハウスをしてくださったり、Facebookライブをしてくださったり・・・本当にたくさんの方のお力で、オイルは1週間で完売。
その後も、発送が大変だろうと手伝いに来てくださった方も何人もいて、温かい皆様に囲まれていることへ感謝しながら発送させて頂きました。
発送も、ご購入下さった方に感謝の気持ちをどう伝えたらよいのか考えたあげく、今の気持ち“感謝”を筆で手書きしたものを、1枚ずつ箱に入れさせて頂いてお届けしました。
私は気持ちを伝えたくて“感謝”の文字を書いて入れたのですが、たくさんの方がSNSにその文字と一緒にオイルをSNSにあげてくださるという、想定外の嬉しい出来事が起こり、またまた号泣・・・。
食べた感想をDMしてくださる方も沢山いらっしゃいまして、お返事に数日かかりましたが、こんなに喜んでくださる結果になったことがまたとても嬉しくて・・・。
幸せな仕事をさせてもらっているなぁとしみじみでした。
私はすっかり、助けて頂いた亀の心境。
少しずつ仕事が片付いていく中で、手伝ってくださった方々にお礼を伝えると、ここでもまた想定外の言葉が返ってきました。
“ひろみんを手伝うことで、ものすごい学びの時間になった。本当にありがとう!”と。
気を使って言ってくれたのかと思いきや、本心からそう言ってくれていることが分かりこれまたビックリ。
人って、人と関わることで学ぶんだなぁと、今はすごくそう思います。
私は手伝ってくださった方のそれぞれの部分での高いスキルに感動していましたが、
彼らは、自分にはない私のスキルを見て学びになっていた。
加えて、
初めまして同士が、私をサポートするという共通意識から友情が芽生えたり、その出会いがきっかけで、その後の仕事に生かされていたり、、、
想定外の好転反応の数々。
遠方で手伝ってくれていた、木暮真由美さんが、彼女のFacebookのサイトで今回のことを書いてくれていました。その中で、彼女は“お互いさま”だと締めくくっています。
助けてくれてありがとう、と、助けさせてくれてありがとう。
これはいつ入れ替わってもおかしくない。
助けてもらうことで、温かい気持ちの数々に触れて感動して、
助けることで、気が付いていなかった自分の気持ちや、他の人のスキルに気がついたり、
互いに学ぶことがとても多い。
お互いさま
素敵な言葉だと思います。
私が今回、もっとギリギリで本当にどうにもならなくなるタイミングで助けを求めたなら、結果はちょっと違っていたように思います。
わずかに余力を残したうえで助けを求めたので、このような最幸の結果になったのだと思います。
なんでも自分でやる派だった私は、今回のことで学び、人に託すことが出来る人になりたいと思っています。
自分で何でもやってきた人は、助けを求めることが下手。人に託すのも下手。罪悪感まで持っています。
でも、そうじゃない。
助けて、という意思表示は、誰かと誰かの間に素晴らしいギフトをもたらします。
これからは、堂々と言おう思います。
“ねぇ、ちょっとだけ助けてくれる?”と。
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