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<楽(ラク)をする>をとらえなおしてみよう。

 この本、とりわけ恭平さんエッセンスが詰まっている本だと思う。

「独立国家のつくりかた」 (講談社現代新書)

 その中でも、第4章 P.177~178の箇所。新書の文庫版にして約1ページ、文字にすると約400文字の中に、苦しい感覚をもって生きる人にとって必要なヒントが詰まっているように思えた。

楽するポイントを間違えない
 秀でたものが才能というのではないことに気づくと、かなり楽になれる。人間はもっと楽にならないといけない。僕が言っていることが矛盾しているように思うかもしれないが、楽になるのは重要だ。楽になれて初めて「思考」し、「責任」のある「断定」という「答え」を導くタイミングが訪れる。
 ・・・中略・・・
 だって人はよく仕事が忙しくてできないと言う。それじゃ駄目だ。まわりを見ていると、一番自分という体が有効に使えるはずの「社会を変える」という行為に対して楽をしちゃっている。それで、試してもいないのに、社会はなかなか変わらないとか言ってしまっている。それは楽にしているのではない。ただ「生きること」をさぼっているのだ。後は一生懸命生きちゃっている。それじゃだめだめ。もっと楽をしないと。もっと適当にしないと。
 ・・・中略・・・
 徹底的に考えよう。こうやって、少しずつ自分の生活のバランスを変えていく。まずはそこからだ。

第4章 創造の方法論、あるいは人間機械論 P.177~P178

 
 私の場合は、上記でいうところの『一生懸命生きちゃっている』エリアに居続けてうつ病となり、それをきっかけに別の本で恭平さんと出逢った。いやいや、そういった病に至るまでもないけれど、どこかで息苦しさを抱えて生きている人にとっては、気づきがあると思う。

 2024年8月現在、「生きのびるための事務」をきっかけに、坂口恭平さんの存在を知る人が増えるのではないかと思っている。ぜひその後に読み漁る本の一候補として、おすすめたい。

 もし私が本屋さんで書籍紹介をするのなら、「これ、滋養成分あります」という言葉を添えたい。きっと、会社を辞めなくたって、転職しなくたって、じっくりこのメッセージと向き合うことで、とても効果があると思う。概念の捉え方が変わるということは、世界のとらえ方が変わるということなのだから。