見出し画像

【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか148】11月(11)腱鞘炎⑤

 アンドレ先生が出してくれた処方箋を持って、翌日、歩いて5分、近所の薬局に行く。

 この薬局にはもう何度もお世話になっている。何人かのお医者さんが入っている建物が向かいにあって、そこで処方箋を出された人の多くがここに来るようで、いつも混み合っている。私も、そのクリニックの内科医に診てもらって、ここで薬を出してもらった。日常的には、デンタルリンスとかべべさんのコットンとかを買っている(フランスでは、家でおむつを替えるときには、コットンに水を含ませてお尻を拭く。外出先ではいわゆるお尻ふきを使うけど)。娘が助産師さんに処方された搾乳器のレンタルも、体重計のレンタルも、ここでお願いした。

 フランスの薬剤師さんは、本当に存在感がすごい。インフルエンザの予防接種も、薬局で薬剤師さんが行う。万が一、副反応が強いといけないから、我が家では大人三人が日をずらして接種した。11月に入ってから、まず婿が、次に私が、最後に娘が。
 インフルの予防接種は、予約も何もなしでOKだった。問診票も体温チェックもなかった。薬局のレジに行って、「インフルエンザの予防接種を受けたいんですけど」と言って、お金を払う。薬品のロット番号が入った領収書をもらう。注射ができる人は限られているのか、対応してくれたお姉さんではなくて、若いお兄さんに交代して、「はい、こっち来て」と倉庫みたいなところに連れて行かれた。「はい、そこに座って、右利き?じゃ左腕出して」。実に簡単に終わった。副反応もその晩、左腕が痛いだけで終わった。
 注射してくれたお兄さんに「日本よりフランスの薬剤師さんの方が仕事の範囲が広いと思う。日本では薬剤師さんは注射しない」と言ったら笑っていた。コロナの時は薬剤師さんたちの仕事、どうなっていたんだろう。

 話をサポーター購入に戻す。薬局のレジに行き、「えっと、手首のサポーターが必要なんです。ほら、これが処方箋で…」と若いお姉さんに見せる。この人は初めてだ。処方箋を見て何か言ってくれるんだけど、当然フランス語は分からない。「ごめんなさい、フランス語は分からなくて」(これだけ覚えたフランス語で)と言ったら、「英語は大丈夫?」と聞いてくれた。まあ、フランス語よりはずっと大丈夫。
 「これ、お金掛かるけど、社会保障には入っていないのよね?」「あ、日本の民間の医療保険に入っているんで、それでカバーされます」「ああ、それなら、領収書を出すわね」「ありがとう」「じゃ、こっちに来て」

 以前インフルエンザの予防接種を受けた小部屋に連れて行かれて、何をするかと思ったら、まずはメジャーで手首のぐるりを測られた。「合ってるサイズのじゃないとダメだからね」と言いながら、お姉さんが壁沿いの戸棚をあれこれ物色する。ひょっとして「合ってるサイズ」がないのかな?これはお取り寄せになるのかな?と思った頃に、「うーん、これを試してみて」と1つ出された。
 「ほら、ここ、ここに親指を通して、はい、まずこっちを締めて、次にこれをぐるっと。そうそう、どう?フィットしてる? これが一番小さいんだけど」すみません、フランス人サイズじゃなくて。フランスにも小柄な人はいると思うんだけどなあ(因みに、スーパーで売られていた6~8歳用の靴下が私のサイズにちょうど良くて、買ってしまいました。めっちゃ暖かい。トナカイ柄だけど)。
 「うん、このサイズで大丈夫だと思う」「良かった。何やったの?転んだの?」「いえ、孫を抱っこしてただけ」「おお」「べべさんの守りは大変なんだよ、特にこの歳にはこたえるわ」「そうよねー」。その「そうよね」は「べべさんの守りは大変」に対してか、「この歳には」に対してか。

 「できるだけ長い時間、これをしたままにしてね。洗濯するときはここの金具だけ外して」とのこと。手のひら側に金属の板が入っている。今ならストリートファイトでも強いかもしれない。
 サポーター代金41.64ユーロ、6500円強。結構なお値段だ。医療保険って大事。サポーターをするようになって10日ほど。本当に効いてるのか、最初は実感がなかったけど、初日の夜、入浴のために外した瞬間、「いたっ」ってなったので、おお、これはこれは、真面目に装着しよう、と思った。曲がらなかった右手首が、月末には左と同じくらいに曲がるようになってきた。ちゃんとした医療器具ってちゃんと効くんですね。ありがたや。

いいなと思ったら応援しよう!