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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか146】11月(9)腱鞘炎③

 お医者さんの診察費用、必要な検査や医療器具の代金、全て保険金で賄える、ということであれば、安心安心。まずはお医者さんに掛かろう。ちゃちゃっと一筆書いてもらって、サポーターを手に入れよう。

 以前、血圧の薬を手に入れたときに使ったお医者さんの予約サイトを開く。整形外科って英語で何ていうのかな、調べてコピペ、「英語が話せる」「整形外科医」を検索する。
 お、うちから歩いて行けるところで、整形外科、手の専門の先生がいる。来週の火曜日に空きがある。よしよし、早速予約しちゃおう。アンドレ先生。英語だけでなくスペイン語、ポルトガル語もお話になる。顔立ちを見るとラテン系っぽい。もともとがスペインかポルトガルの人かもしれない。お名前が良いですね、アンドレ。私ってばベルばら世代なんですもの。

 当日、娘が一緒に来てくれる。勿論、べべさんも一緒だ。娘(のおっぱい)とべべさんは3時間以上離れてはいられないし、それより何より、家に一人にはできない。私一人では病院も行けないというのは情けないような話だが、お医者さんは英語を話せても、受付などの他のスタッフが話せるとは限らないから、娘のアテンドが必要だ。娘のフランス語も限界はあるけど、私よりは百倍大丈夫。

 Googleマップさんを見ると、大きな病院らしい。近くまでは行ったことがあるけど、そういえば、あの道の先に十字マークがついた建物があったっけな。べべさんのベビーカーを押しながら歩く。生憎、小雨が降り出してしまった。出掛ける前から怪しい空模様だったからベビーカーにレインカバーをつけてきて良かった。
 思った通り、十字マークの建物が見えてきた。でも、入り口が分からない。道沿いに救急車用の入り口はあるけど、他には入り口が見当たらない。ぐるーっと塀沿いを歩いて、一周してようやく見つけた。なあんだ、最初から、手前で曲がれば早かったんじゃん。

 敷地に入って今度は、幾つかに分かれている、どの建物に行けばいいのかが分からない。娘が、「患者受付」って書いてあるから取り敢えずそこへ行こう、と連れて行ってくれる。1つの建物に入り、何人かの人が並んでいる、最後尾に並ぶ。スマホに予約画面を出して、娘がそれを係の人に見せる。「ぼんじゅーる、今日の予約があるんですけど」「ああ、もう予約してる人は、あっちの建物に行って、2階に上がって受付してちょうだい」「めるしーぼくー」。娘も初めての病院で、システムがよく分からない。

 言われたとおり、向かいの建物に行く。ベビーカーがあるので、エレベーターで2階へ。エレベーターホールにある看板を見て、こっちが整形外科らしい、と当たりを付けて進む。おお、なんだか雰囲気が病院っぽい。総合病院の待合室の、ちょっとスケールを小さくした感じだ。
 受付的な場所はスタッフが二人しかいない。並んで順番が来たところで、再び予約画面を見せる。名前や生年月日を確認される。フランスの社会保障には入っていないこと、でも日本の私的な保険でカバーされることを説明して、納得してもらう。ここで料金を支払う。診察の前に払うのね(そうじゃないとばっくれる人がいるのか?)。81.50ユーロ、1万3千円ぐらい。目の玉が飛び出るほどの金額ではない。

 整形外科の待合室らしく、怪我人が多い。待合室の周りにドアが幾つもあって、それぞれの部屋に医師がいるようだ。
 空いているベンチを見つけて座っていたら、1つのドアが開いて、「マダームイザワ?」と呼ばれた。はい、アンドレ先生、私がマダームイザワです。

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