日本酒、アメリカ輸出の「壁」
ロサンゼルスをベースに日本酒・食品の輸出販売コンサルタントをしている。主な仕事は、アメリカの輸入会社に日本酒やクラフトビール、国産ウイスキーなどを紹介して、アメリカでの販売に道筋をつけることだ。
アメリカで日本酒が人気と言われるが、新商品を紹介して流通するまでには、たくさんの「壁」がある。その中でも1番のボトルネックが輸入会社を見つけることだ。
全米に10以上の支店をもつ日系輸入卸の商品部マネジャーは「アルコール飲料だけで300以上登録しているが、売れる銘柄はフレーバーやにごり酒など限定的。売れない銘柄は削っていこうと思っている」と実情を明かす。
コストコやトータルワインなど大手小売チェーンに日本産の梅酒を卸している米系ワイン輸入会社の社長は「輸入コストや中間マージンなどで、アメリカの小売価格は原価の3倍になる。(4合瓶で)原価850円を超えたら取り扱いはムリ」と厳しい。
輸入会社が新商品の取り扱いに慎重なのには、①酒ブームといっても「菊水」「くろさわ」など一部の銘柄に人気が集中している、②「獺祭」「久保田」など高級銘柄の価格競争が日本酒全般に広がっている、③宝、月桂冠、大関、八重垣などリーズナブルな米国産日本酒の普及、などの要因がある。
加えて、最近ではヨーグルトやストロベリー風味などの韓国産ソジュが、低価格路線で日本食レストランなどにどんどん入り込んでいる。
今後の対応策として考えられるのは、①ヴィンテージワインのように保存が効く吟醸古酒等の発掘、②ニューヨークやラスベガスなどの高級レストラン指名銘柄の輸入、③新しいトレンドを狙った新商品の開発、などだろうか。
もう1つは、アメリカの輸入会社や消費者に対して、地道に日本酒を紹介していくこと。まずは毎週1本のペースで1年間、英文ブログに取り組んでみたい。