半身(2019.11.14)
左眼がみた景色を
右眼は知らなくて
重ね合わせた円の狭間に
かえりみられないまま
追い越してしまった
右腕が受けた愛撫を
左腕は知らなくて
冷たさを和らげようと
回らない距離まで
追いかけて行った
半身と半身が
左右も上下も
織り込み済みの
とりこぼしを
どうしても掬いたい日がある
ひき延ばされ続ける
からだをさかのぼれたら
重ね書きされた物語を
めくり直せたら
右眼を瞑って
左腕を抱く
あのキュクロプスは
ずっと何かを探している
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