夜道(2017.11.9)
近眼で老眼で鳥目
目をつぶってたって同じ夜道
夢でもうつつでもいいや
惰性でほどけていく輪郭
きっと誰からも見えなくなっているに違いない
それで歌なんか歌ったりする人も
わたしを自転車で横切る
疲れ目でかすみ目で涙目
むやみやたらに滲む夜道
ウソでもマコトでもいいや
とにかく辿り着くまで歩く
たぶん誰一人そこがどこなのかわからない
だから湿った道端に耳をつけて
夜道がたてる音を訊く
夜目遠目笠の内
見えないからこそ上がる値打ち
傘がないフードを被る
酸性雨だって今さら聞かない
もはや誰でも構わない構ってくれるなら
いつかマッチを擦っていたあの子
炎が頬をゆらりと照らす
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