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秘密は 遠く離れた異国で 根づき やがて芽生えた その土壌は 誰も耕さず 固く締まっ…
彼の岸は 空の向こう やがて踏む梯子の先 ひんやりとした青い色は 地上の名残を滅するほどの …
ぱちんと 叩いた手のひらで たくさんの蚊を潰した その都度 手のひらは 赤黒く汚れた 痛くも…
ちくちくと 降り積もる 小さな針たち ふりだしに戻ることも出来ず 雪のように溶けることも出来…
つかみかかって ゆさぶって おしたおして うまのりになり ちからいっぱい だきしめる どこも…
その日 空には 龍がいた 龍は 声無く吼えていた 誰も 龍に 気づいていないようだった ひげ…
あなたに似た人に 昨日も会った あなたに似た人は そこらじゅうにいて わたしの行く先々で わたしではない 誰かを待っている あなたに似た人は 実は あなたに似ていない これっぽっちも似ていない 決して あなたではないという その一点において だから わたしは どんな世界にいても あなたを 見つけ出せる 浜の真砂のひとつぶ 海の真水のひとしずく 決して あなたではない あなたに似た人
世界を 遠巻きに眺めているのは 気分がいいだろう 灰色の海が 鼻先を掠めるまでは いつだって …
ひよこの鳴き声 ぴよぴよ 生まれたての赤ちゃん 頭蓋骨のひよめき へこへこ 脈を打つ 生きもの…
目を閉じて 空っぽの洞窟の底へ落ちていく 音符を眺めている なつかしい青いリュックが揺れて…
バスの中はいつでも夜で わたしはいつでも心細く どこへ向かうのかと どこで降りるのかと 降り…
あなたに会いたい そのあなた は どの あなただろう 昨日のあなた おとといの 六年前のあなた…
かたい殻を割って ようやく這いだした先に 柔らかい胸をひらいたあなたがいたから 愛するしか…
その星はとても明るくて 虫ピンみたいに わたしに刺さってる その星は瞬かなくて だからわたしは くるくる回ってる その星はずっと沈まない 何をどうしたって わたしについてくる ラムネの栓みたいに 外れたら出てこない 胸の一番狭いところに ぽつんと残ったまま その星を握って 握りしめて 消えたりしないか ときどき確かめる 消えてしまえばいいのに あなたの胸に 投げつけたら 消し炭のように真っ黒に 砕けてしまえばいいのに