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詩とおもう(作詞風味)

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記事一覧

ひみつ(2022.10.19)

秘密は 遠く離れた異国で 根づき やがて芽生えた   その土壌は 誰も耕さず 固く締まっ…

hirolin
2年前

その先(2021.4.3)

空を見上げるのは 何かが欲しいとき そこがバスの低い天井でも 欲望は 伸びあがり突き破り 壮…

hirolin
3年前
1

光年(2021.3.28)

その屋根に 鳥が とまっている ほんとうは 消えてしまった 星の 光が そこに届くように 鳥が …

hirolin
3年前
1

弥生(2021.3.24)

春先の白けた空は それでも裏切らない 期待もしなくても 星くずから出来ている これらの体を …

hirolin
3年前

たんじょう(2020.9.17)

五十年前 次の冬に生まれるわたしを 母は宿していた わたしは母のからだの中で 小さく息をして…

hirolin
3年前
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しゅうまつ(2020.11.29)

今日が終わる うすい鴇色の空の裾 世界が終わる日は こんな色だといい とろりと優しく 世界が…

hirolin
3年前

だく(2020.12.22)

抱きしめたい人がいる 抱きしめられたい人がいる あれこれ言われたところで どうにもひとりなのは間違いなくて だからどうしても 抱きしめたい 抱きしめられたい もう腕が言うことをきかなくなった そのときにも 抱きしめたい人のことを きっと考える わたしを抱きしめたかった人は もういない わたしはほんとうなら その瞬間 抱きしめられなければならなかった わたしはほんとうなら その瞬間 抱きしめ返さなければならなかった その罪を その腕の中で 許さなければならなかった 許されなけれ

残暑(2020.9.11)

彼の岸は 空の向こう やがて踏む梯子の先 ひんやりとした青い色は 地上の名残を滅するほどの …

hirolin
4年前
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うわのそら(2020.9.6)

「上空はどうだい?」 「どうって?」 「どんな感じかなってさ」 「可もなく不可もなく」 「そうなんだ…

hirolin
4年前
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手のひら(2020.8.23)

ぱちんと 叩いた手のひらで たくさんの蚊を潰した その都度 手のひらは 赤黒く汚れた 痛くも…

hirolin
4年前
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針(2020.8.20)

ちくちくと 降り積もる 小さな針たち ふりだしに戻ることも出来ず 雪のように溶けることも出来…

hirolin
4年前
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クォーク(2020.7.15)

つかみかかって ゆさぶって おしたおして うまのりになり ちからいっぱい だきしめる どこも…

hirolin
4年前
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SUGAR(2020.7.13)

斜めに切り落とした わたしの切断面は 甘い匂いがする 溶けないソフトクリーム あの日の地面…

hirolin
4年前
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失踪(2020.5.26)

足の裏のかたちの染みを残して 消えてしまった あなたを探そう 髪の匂い 剥がれたかさぶた いびつなあなた いつでも触れていられたのに 足の裏のかたちの染みを残して 消えてしまった わたしは探そう 逆さまつげ 齧ってふやけた爪 ゆがんだわたし いつでも触れたかったけれど どうしても遠く かぎりなく嘘で とこしえに夢だ もういいだろう 足の裏のかたちの染み まだ温かい ふやけた爪が あなたの親指を まだ覚えている