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左眼がみた景色を 右眼は知らなくて 重ね合わせた円の狭間に かえりみられないまま 追い越してしまった 右腕が受けた愛撫を 左腕は知らなくて 冷たさを和らげようと 回らない距離まで 追いかけて行った 半身と半身が 左右も上下も 織り込み済みの とりこぼしを どうしても掬いたい日がある ひき延ばされ続ける からだをさかのぼれたら 重ね書きされた物語を めくり直せたら 右眼を瞑って 左腕を抱く あのキュクロプスは ずっと何かを探している