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鯨のなめらかな背中を 駆け回る子どもたち 月が消えるまで 誰も来ないから 鯨のなめらかな背中は 裸足でも痛くない サーチライトも 届かないから あの日もあの夜も 月も星も めぐっては消え 陸のうえでも 波の音が耳から離れないけど 鯨のようだった盛り土が 今日 公園になった まだ誰も足を踏み入れていない まだ誰も手を触れていない しんとした遊具 月が虹色の暈をひらいた 鯨は子どもたちをのせて 海をめぐる