心のバイブルと絵を描くときの心掛け
モーリス・センダックの絵本『かいじゅうたちのいるところ』を原作とした実写映画のメイキングブック、その名も『かいじゅうたちのいるところメイキングブック』(河出書房新社)。
この卒アルの悪ノリをひどくしたみたいな本を読むと創作をしたくなるし、創作できる人間で良かった幸せだ、と思える。
それはまるで心のバイブルのような本です(訳が安原和見さんなのもウキャキャー!ってなります)。
この本には映画のスタッフが〝かいじゅう〟のイメージ画をモーリスに見せたら「魂がこもってない」と言われたと書いてある。
「魂がこもってない」は、モーリスの口癖なんだそうで、だから私は、絵を描く上で大事なのは魂をこめて描くことなんだと思っている。
未だに描けないものだらけだし、単純な構図や顔もスッと描けなくて情けないやら腹立たしいやら。そんな気持ちになんぞしょっちゅうなる。
でも絵が上手いとか下手だとかきれいだとかきれいじゃないとか古いとか新しいとかはほんとどうでもいい。
大事なのは魂をこめるってことなのだ。
最後に。
モーリスは絵本『かいじゅうたちのいるところ』誕生秘話の中で「描けるものならなんでもいいんだ、描けないものを無理して描くことはない」とも言っているのでそれも心の拠り所としていたけれど、久しぶりにこの本を読んだらこの項の名言(太字)は「物語を作るんじゃない。自分の人生を生きるんだ」だった。
ヒトという生き物がいかに自分に都合のいい言葉しか聞かないかよく分かる事例である。