持たざる者のサバイバル・タロット愚者の旅 第1話(改訂版)
ボロボロのマントを纏ったその男は
杖にしがみ付くようにして坂道を登った。
周囲が見渡せる場所に着く頃には
額は薄っすら汗ばみ、息切れがした。
男の視線の先には、小高い丘の上に小振りの城といえるほどの
石造りの館が建っていた。
もう何年、何十年経ったかも定かではない、
男は18であの館から旅立った。
記憶の中の館はもっと大きく立派だった。
館の周りは見渡す限りの農場と農園が今も広がっている。
男の名前はガロ、
本当の名前かどうか分からない。
ガロはこの地方で餓鬼とか小僧という