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「言語化できない」の前に、観察ができていないのかもしれない。
#新型オトナウィルス というpodcastの番組を聴いていると、「気持ちをうまく言語化できない」というお悩み相談があり、とても興味深かった。
「うまく言語化できないの前に、観察ができていないのでは?」と話されていて、まさに!そうだな!と思ったので、そのフレーズをもとに、自分なりに考察してみたい。
観察とは、物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること
そもそも観察ってなんだっけ? と辞書で調べてみると「物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること」とある。
なるほど、状態だけではなく変化、客観的、注意深く。この辺りがポイントだろう。
私はコピーライターとして、自分のビジネスを売り出していきたい人向けの講座やセミナーをやっている。「うまく言語化できない」は、毎日のように聞く言葉だ。
どんなに思っていても、言葉にしないと伝わらない。とくに、 SNSやnoteやブログ、ホームページや音声や動画などを使って自分や自社を売り出していきたい、自分の思いを伝えたいなら、言葉にするのは必須である。
言葉にする前に、対象物のことをしっかり観察できていないのでは? という問いかけに、ハッとした。うまく言葉にすることばかり考えていたのではないか。
自分の気持ちも、相手の変化も、自分で思うほど「しっかり観察」できていない
新型オトナウィルスでの相談は「自分の感情がうまく言語化できない」というものだった。その場合、そもそも、自分の感情をしっかり観察できていないのでは? ということになる。
たとえば、「嬉しい」と思ったとして。うれしいな〜と漠然と感じているだけでは、自分の嬉しさをうまく人に伝えられない。なんとなくうれしかったんです、だと弱いのだ。
番組では、「誰かに話を聞いてもらう」ことを勧められていた。確かにそうだと思う。人から「どんなふうに嬉しかったの?」「それって、誇らしいみたいな気持ち?」とか、質問してもらったり、こうじゃない?とまとめてもらったりすると、自分の気持ちを深く理解できるようになる。
私の講座でも、ひとりで書き出すワークをした後は、ふたりやグループでフィードバックをしあう時間を取る。口に出すこと、人に聞いてもらうこと、質問してもらう、まとめてもらうことで、自分一人では思いつかなかった言葉が出てくることはよくある。「〜ってことですか?」と聞かれて、いやちょっと違うなと感じたら、どこがどう違うんだろう?と深く考えられる。
誰かに聞いてもらうのがベストだと思った。でも、ひとりでもできる方法もある。
観察1 . 分解してみる
自分の気持ちを掘り下げるにしても、商品やサービスについてでも、お客様の変化でも、まずは分解してみるといい。
わかりやすいフレームが、5W1Hだ。
いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように。
たとえば、セミナーを受けてくれた方から、受講後にメッセージが来て嬉しかった。ということを書きたいとする。
受講してくださった方からメッセージが来ました!「今までの思い込みがガラガラ崩れて、自分がやるべきことが明確になりました!」うれしい〜!
自分の気持ちを、単に「うれしい」としか捉えていないと、こういう文章になる。
もっと「観察」してみる。
・メッセージが来たのはいつ?:受講後すぐ。終わって5分もたたないうちに。
・どこで? :メッセージが来たのは、TwitterのDM。自分がいた場所は、セミナールーム。片付けをしていた。
・誰が? :メッセージを送ってくれたのは、セミナーに初めて参加してくださった学生さん
・何を? 嬉しかったことは何?:感想のメッセージを送ってくれたこと。
・なぜ? なぜ嬉しかったのか? : 今までと違うターゲットにも届いたことが嬉しかった。学生さんにも伝えたいとずっと思っていたので。自分に自信が持てた気がした。
・どのように? 嬉しくてどうしたのか? どんなふうに喜んだ? : 「よかったぁ、ちゃんと届いたんだ」といいながら、セミナールームの中を意味もなくグルグル回った。 家に帰る前に、スタバに寄って、学生さん向けにもう一つ新しいセミナーをやってみようとスライドの叩き台を作った。
自分の気持ちや行動を分解して考えると、たんに「うれしかったです」ではないことが書けるようになる。
いつかこのセミナーを学生向けにもやりたいと思っていた。だから、今日、セミナーが終わった直後に、学生の参加者さんから「今までの思い込みがガラガラ崩れて、自分がやるべきことが明確になりました!」とメッセージが来て、良かった、ちゃんと届いたんだと安心した。なんだか誇らしい気持ちになって、セミナールームの中をぐるぐる歩き回ってしまった。自分のコンテンツの可能性がまた広がった気がした。帰り道、駅前のスタバに寄って、ノートを広げ、次はこういうことを伝えたいと構想を書きまくった。
「嬉しかったです!」と書くよりも、できごとを描写することで、読者が「ああ、そういうことがあったんだったら、うれしいよね」と感じる文章が書けるようになる。
全く同じ経験はなくても、誰かの言葉で自分に自信が持てたり、誇らしいような気持ちになったり、アイデアが湧いてきて書き出したくなったり、そんなことは自分にもあるようなぁと思う人は多いはずだ。
5W1Hに分解してみると、自分でも単に「うれしかった」と思っていた出来事が、ああ、自分は安心したんだ、なんだか誇らしい気持ちになったんだ、アイデアが湧いてきたんだ、みたいに自覚できるようになる。
観察2.他の言葉に置き換えてみる
もうひとつ方法としては、「うれしい」を他の言葉に変換してみることだ。
うれしいと似ている言葉を探してみる。
楽しい、 愉しい、明るい、幸せ、 ご機嫌 、悦ばしい、 ハッピー 、心嬉しい、 大喜び 、幸福、 幸せ、 喜ばしい、
愉快、満足、ワクワク、ドキドキ、にやにや、ウキウキ、
どの言葉が、今回の感情に近いか? どの言葉はニュアンスが違うか?
形容詞以外にもある たとえば動詞にしてみる
幸福を感じる、喜びを感じる、充実感を覚える、幸せを感じる、幸せになる、充実する、満たされる、心が豊かになる、満足のいく
小躍りする、喜びがこみ上げる、歓喜する、舞い上がる、天にも昇る気持ち、喜びが爆発する、大はしゃぎする、ルンルン気分になる、バンザイする、狂喜乱舞する、派手に喜ぶ、
似ているけど、ニュアンスの違う言葉はたくさんある。どれが近くて、どれがちょっと違うのか?
そう考えていくと、一つ一つの言葉の違いに興味が出てくる。この言葉とこの言葉はどう違うのか? そうやって調べていくと、細かなニュアンスまで伝わる「言語化」ができるようになる。
語彙力があれば、ものを見る解像度が上がる
番組内でのお悩み相談では、「語彙力があれば、モノを見る解像度が上がる」という話をされていて、それもまさにその通りだなぁと思った。
どれだけの言葉を知っているか、言葉のニュアンスの違いを知っているかで、自分の感情を正確に言い当てる言葉を選べるようになる。
自分の感情を、どう表現したらいいか迷う時に、「ぴったり言葉」が見つかったら、ああ、これが言いたかったんだ!とストンと腑に落ちてスッキリするだろう。
語彙力をつけるには、語彙力本を読むよりも、小説を読んだり、新聞や雑誌などの文字メディアに触れるのがいいと思う。誰か好きな人のブログやnoteを読むのもいいけれど、できれば、本や雑誌の方がいいんじゃないかな、と私は思う。何人もの人が見て、言葉が研ぎ澄まされているからだ。
そして、街の中にあふれている言葉や、YouTubeなどで流行っている言葉、SNSで使われている言葉なんかも、知っておくにはいいと思う。今の気分がわかるからだ(取り入れるかどうかは別として)。
たくさんの言葉を知っていると、自分の気持ちに対する解像度が上がる。人や物事、出来事を捉えるときの解像度が上がる。
何でもかんでも「やばい」「エモい」「すてき」「おもしろい」「かっこいい」と言っていたら、あの人は素敵な人だ、というような一元的な捉え方しかできない。
闇雲に語彙力を増やす必要はないと思うけれど、人やモノや出来事を解像度高くとらえるために、言葉の引き出しを増やしておこう、という考えは、素直にいいなと思った。
言葉の選び方ひとつに、その人が出る。
言葉に自分なりの定義を持とう
私の講座では、「言葉に自分なりの定義をつける」というワークをする。
同業者や自分自身が、よく使いがちな言葉に、自分なりの定義をつけることで、自分の言葉で語れるようになる、というものだ。
たとえば、「健康」という言葉に自分なりの定義をつけてみる。
ある受講生さんの例。
①〜⑥までの質問に沿って、「健康」という言葉を、自分なりに分解してみる。最終的に出てきた答えが、「健康とは、仕事がはかどる体のこと」だった。
「健康的になれます」「健康にいいです」というだけなら、誰でもできる。でも、自分が伝えたいことは、「仕事がはかどる体になれる」ってことなんだ、とわかる。これが言いたかったんだ!とストンと落ちる瞬間だ。
このワークは、「うれしかった」みたいな感情にも応用できるな、と今思った。
言葉に自分なりの定義をつけるワークは、自分の思いにぴったりの言葉を見つけるためにやるのだけれど、これがまさに言語化の前に「観察をする」ってことじゃないか? という気がしてきた。
このフレームワークを使えば、自分の気持ちも、お客様の気持ちも、商品やサービスの魅力も、観察できる。それが自分の言葉で伝えるってことになるんだと思う。
「言葉に自分なりの定義をつける」ワークは、『売れ続けるネット文章講座』の第3章にあります。詳しいワークのやり方や事例を書いています。
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気づきにあふれたPodcast「新型オトナウィルス」はこちら。内容ももちろんですが、対話の仕方も勉強になります。